あなたの色に染められて
第14章 臆病者
『はい。どーぞ。』
ドリンクを持ってきてくれた美紀は席につくと
『で、本命の彼氏に泣かされてる原因はなんなの?まぁなんとなく想像ついちゃうけどね。』
美紀は席に着くなり本日の本題に入った。
『あのね…』
…ダメだ 勝手に涙が出てくる
『遥香さんでしょ?』
私は素直にコクりと頷くと美紀はテーブルの上で腕を組んで
『やっぱりね…遥香さん絡みだと思った。ほら 泣くな泣くな。ゆっくりでいいからちゃんと話してごらん。』
遥香さんには誰にも言うなって言われたけど美紀にはすべてを話した。
『あのね…京介さん遥香さんに…復縁迫ってるんだって。』
絞るように紡いだ言葉に美紀は目を丸くする。
『はぁ?遥香さんが復縁迫ってるんじゃなくて?』
『でね…私は遊びなんだって京介さんが言ってるって遥香さんが…』
『はぁ~?』
美紀はファミレスじゅうに聞こえるほど大きな声を発すると
パシッ!!
今度は身をのり出して私の頭を…叩いた。
『痛っ~い!なんで叩くのぉ…』
口をへの字にしてなんとか涙を堪えているのに
『あんたバカ?まさかその話ホンキにしてんの?』
『…でも…でもね…私のエッチもつまらないって言ってたって…』
私は恥を忍んで言葉を紡いでいるのに美紀は平然とコーラを一気に飲み干して
『どうせ 寝てるだけでマグロみたいとでも言われたんでしょ?最初はみんなそんなもんよ。特に璃子は免疫ゼロだし。』
『でも…』
『絶対に嘘だから京介さんに聞いてみなよ。』
『…それは。出来ない。』
『はっ?聞いてみなって。璃子が京介さんのこと信じなくてどうするの?』
美紀の言ってる通りなんだと思う。聞かなきゃいつまでたっても私は別れを切り出す京介さんに怯えていなければいけない。
でも 正直そんな勇気もない。
『…怖いんだよ 。』
『わかるよ?…でもさ遥香さんが自爆するの待ってたら璃子が壊れちゃうでしょ。』
『壊れない。』
『もう壊れかけてるじゃん。これじゃあ川野先生が焼き肉連れてった気持ちもわかるよ。』
美紀は溜め息混じりにグラスのコーラを一気に飲み干すと 今度は私が美紀のグラスを手にとって
『私が持ってくるよ。』
『じゃあコーヒーブラックで。』
一度頭を冷やしたい私はまだ飲み物が半分以上残っているのに立ち上がりドリンクバーへと足を向けた。