あなたの色に染められて
第2章 はじめの一歩
『美紀ちゃん。俺のことどう思ってるかわかんないけど…ちゃんと考えてるから。』
直也が言った通りだと思った。
『軽い気持ちじゃないから。俺の可愛い後輩の彼女の親友でしょ?直也の顔に泥は塗らないよ。』
だって 本当に優しく微笑むから
『京介さん…。』
『京介さんはね こう見えて一途なんだよ。』
直也も何か感じたんだと思う。
『それなら安心しました。やっと一歩踏み出したんです。正直 気持ちがどう動くのか まだわからないけど…璃子のこと よろしくお願いします!』
色々“遊んでる”とは聞いていたけど なんだろう…女の感かな?
あの優しい目を見たら京介さんなら…って自然と思えた。
『美紀。璃子ちゃん迎えにいってあげな。調子に乗りすぎてゴメンって 言って。』
私はトイレに足を向けた。
***
いつものようにトイレの鏡でにらめっこしてる私。
大きくため息をついたりイジイジしてみたり。
…あぁぁ。まただよ。せっかく一歩踏み出したのに。
そろそろ気づいてるでしょ? いつもと何かが違うって
あの やわらかい笑顔に 行動力に 優しい瞳に
私の心が奪われはじめてるって。
…バタン…
『やっぱりここか。』
美紀はいつものように笑いながら私を迎えに来てくれた。
『直也がゴメンナサイって。許してやって?』
『ううん…直也さんは悪くない。…ウジウジしてる私が悪いんだよ。』
美紀は穏やかな顔をして 私の目をまっすぐに見て話はじめた。
『京介さんに心開いてみたら?女の感だけど
…璃子に向き合ってくれる人だと思うよ?』
『いいのかなぁ。これ以上心が動いたらどうやって止まったらいいかわからないの。きっと迷惑かけちゃうし。』
私は素直に美紀に胸の内を伝えた。
『いいんだよ迷惑かけちゃて。心が動いてるんでしょ?ダメ元で動いてごらん。何かあったら私が全部受け止めてあげるから。』
美紀はやっぱり恋愛上級者で
『…うん…。』
何かが吹っ切れた私は この心に小さく芽生えた 恋の花を育ててみようと決心して
『じゃ 戻ろっか?』
『ありがとね。…美紀。』
どんな花が咲くのか育ててみようかなって
『京介さんかぁ。がんばれ!』
小さな花でも素敵な花だったらいいなって
『がんばる!』
思った。