あなたの色に染められて
第17章 運命のイタズラ
『……璃子ちゃん。』
翌日 野球の練習前に直也さんたちがお見舞いに来ると言うので 私も待合室に顔を出した
『……こんにちは。』
佑樹さん、直也さんをはじめとしたいつものメンバーで。
佑樹さんは首を傾げて 悲しく微笑みながら
『……大変だったな』
私に気を使ってくれて。
『…大事には至らなかったので ホッとしてます。……私のことは 忘れられちゃいましたけどね。』
沈んだ空気を空気をはね除けるように
ペロッと舌を出しておどけて見せる。
そんな私を見た彼等は 私と同じように無理して笑顔で 病院だと言うのに大きな声で
『直也に聞いたけど。大丈夫だから。』
『そうだぜ。あの京介が人前でイチャイチャしちゃうぐらい惚れられてたんだから。大丈夫。大丈夫。』
『そうだよな。アイツ“璃子”“璃子”うるさかったもんな。忘れるわけねぇよ。』
みんなの優しさが心に染みて
『…でしょ~。酷いよねぇ。京介さん。大事な彼女を忘れちゃうんだから。』
いつものように元気よく言えたかな。
『…璃子ちゃん。俺たちの前ではいいから。無理はしないこと。俺たちにとって 璃子ちゃんも大切な仲間なんだから。』
『そうそう。記憶が戻るまでは俺たちが璃子ちゃん守るから。なっ!』
『……うん。ありがとう。佑樹さん。』
直也さんの後ろから美紀が顔を出して
『さっき 遥香さんが荷物持って病室行ったから。』
そっか……。京介さんの中の彼女は遥香さんなんだもんね。
『うん。』首を縦に振って
『璃子。みんなアンタの味方だからね!クヨクヨしてないで 彼氏取り替えしにいくよ!』
美紀はこの中の誰よりも力強い声で
『…うん。 でも。』
『……大丈夫。って言ったろ。俺たちに任せておけって。』
みんなは顔を見合わせて
『なぁ。こっちから問い詰めたらダメなんだろ。だったらきっかけ作ってさ 璃子ちゃんを思い出してもらう作戦。』
『でも顔を覚えてもらうところからだろ……』
みんな一生懸命に考えてくれる。そんな姿がとっても嬉しくて
『まずは京介のお見舞いだな。で、作戦会議!』
私はいつの間に“仲間”として受け入れられていて
私たちは敵陣に乗り込んだ