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あなたの色に染められて

第19章 約束





『…璃子ちゃん。……彼氏いるの?』

『えっ?』

そんなに驚くような質問したか?

『璃子ちゃん。……口 開いてるよ。』

ホントにかわいいんだよな。俺はこの驚いた顔が大好きで

でも 今日の璃子ちゃんはちょっと違って 俯き目を瞑り 深呼吸をすると

眩しいぐらいの満面の笑みで

『はい。私にはもったいないほどの彼氏なんですよ。』

そうだよな。こんなにいい娘 放っとくわけないか。

『どんな人なの?』

『知りたいですか?』

そりゃ どんな男が仕留めたのか知りたいよな。

『話したそうだね。』

『…うん。』

こりゃ相当のろけられるな。

『いいよ。聴かせて。どんな彼氏なの?』


璃子ちゃんは大きく深呼吸して ネックレスのトップに指を添えながら 優しい声で話始めた。

『背が私よりこーんなに高くって 格好よくって。』

ハイハイ

『……嘘がキライで。……隠し事もキライで。……だからちゃんと話すって約束した人で。』

…約束ね

『それで。……もっと教えて』

『……お洗濯が苦手で Yシャツなんてすぐにいっぱいになって』

独り暮らしなんだ。

『お料理が苦手で……』

『料理得意な男探す方が大変じゃない?』

クスッと微笑んで

『……すぐにヤキモチ妬いて。口をこうやって尖らせて。』

運転してるから見えないって。

『じゃあ こんな風にドライブしてんのバレたら大変だ』

『……どうだろ。…今日は怒らないと思うな』

俺が彼氏ならきっと怒るだろうな。

『この距離だもんね。ドライブにならないか。』

『…ふふっ。…それでね…どんなときも 私を包み込んでくれたんです。』

どうしたよ。涙声じゃん

『思い出しちゃった?』

『…はぁ。…私に“愛してる”の意味を教えてくれたのは彼なんです。』

『…愛してるの意味ね。…璃子ちゃんも愛してるんだ』

駐車場に車を止めて 振り向くと

大きな瞳から涙をポロポロと流して でもすごいキレイな笑顔で

俺の目をじっと見つめて

俺に思いを伝えるように

『……愛してます。世界中で誰よりも……愛してます。』


泣き顔がこんなにキレイなんて…

痛っ。……。

どれだけ彼氏は愛されてんだよ。

こんなに気持ちよく振られるなんてな。

あぁ。マジで頭 痛ぇ。

マジで……

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