あなたの色に染められて
第20章 点と線
『ねぇ。おやすみなの?』
『……ケンタ。なんで璃子ちゃん知ってんの?』
事故に遭ってから ケンタは球場には来ていないはず
それなのに どうして…
『オレとりこちゃんはラブラブだってずっといってるだろ!』
はっ?ずっと?
俺の膝の上でピョンピョン跳ねながら
『きょうすけよりオレのほうが すきだっていってたもん』
どうして 俺がケンタが比較されんだよ。
あぁ…マジで痛ぇ
『ねぇ りこちゃんは?』
『だから~知らねぇって』
『きょうすけのオンナなのになんでしらないんだよ。』
…俺の…………オンナ?
『璃子ちゃん今日居ないんだって。ほら パパとキャッチボールしようか』
いつのまにか現れた長谷川さんは ケンタを抱き上げて 俺の顔を悲しげに見下ろす。
『…長谷川さん。璃子ちゃんが俺のオンナってどういうこと?』
『お前。今晩 奴等とうちに来い。』
『…はぃ』
いつもの飲みの誘いじゃない
『見せたいもんがあるから。』
俺は頷いて ガンガンする頭を抱える。
マジで…痛くて割れそうなんだけど
でも この痛みの原因がそこにはあるのか?
***
『おじゃまします。』
佑樹と直也に声をかけたら
『あぁ。長谷川さんから聞いたから。行くよ。』
アイツら二人とも車中 口数少なくて俺を見ては溜め息ばかり。
『いらっしゃい。久しぶりねみんな。』
幸乃さんは歩き始めたばかりのちーちゃんを胸に抱き リビングへ
いつものように 幸乃さんの美味しい手料理がテーブルを彩り 俺の膝の上にはケンタ。
『じゃ。カンパーイ。』
ケンタの元気のいい声だけが部屋に響き渡る。
いつもと違う雰囲気…きっとそれは俺のせい
長谷川さんはテレビの前に進みDVDを用意する。
俺以外のみんな そのなんでもない作業に息を飲んで
『パパ。なに見んの?』
『ケンタの好きな人。』
ふっと息を吐くと
『京介 俺はルール違反かもしんない。…でも たぶん俺が見せなきゃ 誰も見せねぇと思うから』
……?
長谷川さんはリモコンの再生ボタンを押すと流れた映像はに目を奪われた。
ユニフォームを着た女の人の膝に座って 胸に顔を埋めるケンタの姿
ゆっくりと画面にその女の人の顔が写る。
…えっ…どうして?
それは…
俺のユニフォームを着た 璃子ちゃんだった