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あなたの色に染められて

第3章 二人で


試合が終わり 道具のお片付けの手伝いをしてると私の前に大きな影が降りてきた。

『ねぇ璃子ちゃんはまだ京介とお試し期間中なの?』

それは私の苦手な佑樹さん。

『…あ。』

はじめて参加したミーティングからLINEのIDを聞いてきたり 映画やドライブに熱心に誘ってくれる

『…まぁ。』

決して悪い人ではないとは思うけど 私の心にズケズケと入ってくる感じが苦手だった。

『ねぇ 璃子ちゃん。』

私は目線を上げずにボールを拭き続けると隣にピッタリとしゃがみこみ顔を覗いてくる。

近いよ…

『明日映画行かない?それとも海までドライブとか?球場ばっかりだと飽きちゃうでしょ?』

だから…

『…えっ。』

急に肩を抱かれて身動きのとれない私

『…。』

『京介辞めて俺にしなって。絶対に楽しませてあげるからさぁ。』

しつこいーっ!あーもう !!

『いや。ホントに…』

耳に佑樹さんの息がかかる距離

…お願い誰か助けて

神様に祈るように目をギュッと瞑ると

『渡さねーから。』

あっ!

振り返るとそこには腕を組んだ京介さん

『離れろよ…璃子ちゃんは俺が予約してんの。』

『まだわかんないじゃん? ねー璃子ちゃん。』

ホッとした。助けに来てくれたんだ。

『いいから離れろ。ほらシッシ!』

『はいはい。 京介に邪魔されちゃったから行きますかね。璃子ちゃん俺諦めないからね~。』

佑樹さんが笑顔で手をヒラヒラと振りながら離れて行くと

『ありがとう…ございます。』

京介さんは私の隣にスッと腰を下ろしボール拭きを始めた。

しばらく大人しくボールを磨いていると

『明日…仕事?』

京介さんは目線をボールに向けたまま

『はい。でも…明日は診察午前中で終わります。』

少し低い声にドキリと胸が鳴る。

『飯…食いに行く? 』

でも 重なった視線は優しくて

『い…行きます!あっでも…美紀は大丈夫かなぁ。』

『そか…二人きりじゃまだ難しいよね?』

あっ そういうことか…

ダメだな私って

『悪い、そうだよな…ゴメン。直也に声かけてみるよ。』

ちがう。ちがうの!

ちゃんと自分の気持ち伝えなきゃ!

『あの…!ふ、二人で…行き…たいです!』

京介さんは目を大きく見開いてからにこりと微笑んで

『じゃ。決まりね。』

私の頭を優しく撫でた。

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