あなたの色に染められて
第21章 遠い空
『あの女…不死身だな。』
『…ホント。俺 京介さんに同情しちゃうよ。』
練習終わり いつもの居酒屋でミーティング。
俺たちは管理事務所にカギを返す関係で 少し遅れて到着した。
いつも 誰かしらが先に来て 席をキープしてくれてたんだけど 今日は出来ずになんとなくバラバラに座った。
長谷川さんと京介さん。佑樹さんと俺。
…マジかよ
ミーティングからの不意打ち参加。
“不死身な女”遥香さん。
たった1ヶ月の反省期間を得て本日無事に復活ですか。
『あぁ。京介かわいそう。』
京介さんと同じテーブルに着いてるし。
長谷川さんも呆れ顔で こっちに視線を送ってくる。
『モテる男は辛いですねぇ。』
本当にそうなんだ。遥香さんと別れて璃子ちゃんとも離ればなれになった今 京介さんを狙う 元マネージャーたち。
昼間の練習にも何人か手伝いだか 邪魔しにだかに来る始末。
気が付けば他のヤツらは席を移動して6人テーブルに 男は長谷川さんと京介さん。どう考えてもおかしい元マネ6名。
お誕生日席まで活用して座ってる感じで
『俺に一人分けてくれねぇかなぁ』
『佑樹さんは連敗中ですもんね』
『うるせぇ。クソ坊主。』
バシッと一発 頭を叩かれた
『で どうなのよ。璃子ちゃんから連絡あったの?』
今俺たちが一番気にかけてる事。
『あぁ。まだ美紀にも連絡なくって… こっちで使ってたスマホにメールやらLINEは一応しといたみたいだけど… 』
『だって もう1ヶ月だろ。あっちの生活が忙しいのもわかるけどさ…』
そうなんだ まったく連絡がとれないんだ。
『美紀が璃子ちゃんの実家に電話して聞いてみたんだけど “連絡来るまで待っててあげて”って。』
璃子ちゃんのお母さんは悩んで苦しんでたのを一番見てきたのかもしれない。
親だもんな。娘の幸せを一番に考えるよな。
『璃子ちゃんまだ京介が記憶戻ったの知らねぇんだろ?』
『……うん。』
遠く離れたアメリカの地。住所も知らなければ電話番号も知らない。
『あぁ。どうにかなんねぇかなぁ』
俺らより 待ちわびてるのは京介さんなわけで。
だってそうだろ。ほらな。
あの日から暇さえあればスマホを覗いて 璃子ちゃんからの連絡を待ってるんだからさ。
『ホント どうにかなんねぇかなぁ。』