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あなたの色に染められて

第21章 遠い空



『……んっ。』

真っ白いシーツの上に体を埋め たっちゃんの舌を受け入れる。

それは出会ったときの印象とはまるで違う やさしく 私の心を溶かしていくようなキスだった。

『……璃子』

耳元でそっと囁き 耳朶を食む。

『……んっ。』

パジャマのボタンを片手で器用に外し もう一方の手は肘をベッドに付けて私の髪を撫で やさしく微笑み見つめて。

私は彼のシャツをギュッと掴んで 視線を合わせる。

『…たっちゃん…私…』

たっちゃんはクスッと笑って 緊張を取るように私の顔のパーツすべてにチュッと音をたてながらキスを落として

『……なにも言わなくていいから。…ちゃんと俺に抱かれて。』

私は返事をするように彼の背中に腕を回した。

首筋に顔を埋めてキスを落としながらパジャマの上下を脱がせて私を見下ろす彼。

月明かりしか届いていない薄暗い彼の部屋。それでも十分に私の体は見えてると思う。

体を隠そうと手を動かすと 両手首を捕まれて シーツに落とされ指を絡めて

『こんなに綺麗な体してたんだ…』

私は恥ずかしくて顔を背ける。

左胸にキスを落とすとたっちゃんはそのまま耳を寄せた。

『……璃子の心音 やっと聞けたな。』

『……。』

たっちゃんは耳を当てたまま 繋いだ手を唇に寄せて指の一本一本にキスを落とす

私は天井を見上げて目を瞑る。

瞼の裏に浮かんだ笑顔はたっちゃんではなくて……

初めて私の体を愛してくれた京介さんだった。

これで忘れられるんだって… もう違う誰かのモノになるんだって… もう京介さんが愛してくれた私ではなくなるんだって…

絡めた指を今度は私の唇に引き寄せてキスをする

たっちゃんは私をきつく抱きしめて

『愛してるよ。…璃子。』

どちらからともなく唇を寄せて

『……んっ。……ハァ。』

ただ天井を見上げて彼の腕に抱かれる。彼の唇に指に応えるように

『……ハァ。……イャッ。』

たっちゃんとはじめてひとつに繋がると

私の瞼の裏から京介さんは消えた。

ううん。…消した。

だってもう…私は

『…ッツ………イクよ。…璃子…』

『……アッ。……イャッ…ァ。』

果てるときにキスをねだる私じゃなかったから

たっちゃんの…モノになったのだから…

カーテン越しの夜空は遠いあの人が見上げる夜空と同じ空で…同じ月だった……

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