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あなたの色に染められて

第23章  significant other




……はぁ。

朝の光に包まれたリビングに今日もたっちゃんの姿はない。

彼を拒んだ日から1週間 彼は家に帰ってきていない。医局に寝泊まりしているよう…

……クリスマスか…

無駄に広いリビングで一人大きなツリーを見上げ リンゴのオーナメントを掌に乗せる。

…クリスマスの日に私は何をやってるんだろう。

去年のクリスマスは煌びやかなドレスを身に纏い たっちゃんに外資のパーティーに連れてってもらった。

あれから1年。私たちの関係は目まぐるしく変わった。

彼を選び 愛され 今は異国の地で彼と過ごす。……でも 私は彼を裏切った。



電話をかけても

「……。」

今日もやっぱり出てはくれない。


病院でたっちゃんのアシスタントの立場にある私は仕事の面では変わらずに接してくれた。

でも 二人きりになると

「…ねぇ。たっちゃ…」

「… ちょっと患者のところに行ってくる。」

電話をかけても

「……忙しいから仕事の話だけにして。」

そう言われて切られてしまう。

……はぁ。

でも それは仕方のないこと。

途中まではいつものように彼に身を任せたのに まるで糸がプツリと切れたように一転し あれだけ泣き叫びながら彼を拒んだんだもの。

たっちゃんはもう 私が何かを話したいことはわかってるはず。

……はぁ。


私たちは休みを利用して来月日本に帰る。

私は友人の結婚式。たっちゃんは勤めていた病院で大きなオペの助手としても入る予定だった。

このままの状態で日本に帰ってもお互い苦しいだけなのに…


キッチンでコーヒーを淹れる。一人分だからあっという間にドリップが終わる。

…ちゃんと話をしなきゃ。

ふざけた気持ちで彼の胸に飛び込んだわけではなかったから

それはきっとたっちゃんも同じだから……


コーヒーを飲み干すと 仕事にいく支度を始める。


鏡に写る私の胸元には たっちゃんが付けた 花びらがまだ鮮やかに咲き乱れていた。

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