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あなたの色に染められて

第23章  significant other




『……離せよ。』

『……お願い…話を聞いて…』


この聖なる夜にまた一人 命を救った夜 私は医局でたっちゃんの戻りを待っていた。

ダークグリーンのスクラブの上に白衣を羽織った彼が医局に戻ってきたのは クリスマスが終わる1時間前の23時少し前。

私が部屋にいることを確認すると 首を左右に振り大きな溜め息を吐いて 部屋を出ていこうとする。

『……たっちゃん!』

たっちゃんは髪をかき上げて私に冷めた視線を送りドアノブに手をかける。

私は彼の白衣をグイッと引っ張って引き留めた。

『……離せよ…疲れてんの。』

子供への心臓移植だからかなり神経を使って疲れ果てているのはわかってた。

『……お願い…話を聞いて…』

『……フッ…必死だな。』

たっちゃんは鼻で笑うとソファの中央に腰掛け 膝の上に肘をおいて 面倒臭そうに俯いていた。

『……で なによ。』

ほんの少し顔を上げて 立っている私をジロリと睨み付ける。

私はとっさに目をギュッと瞑り その視線から逃げた。

『…話がないなら出てけよ。』

『…違うの。…ごめんなさい。』

『……はぁ…めんど…』

彼は溜め息を吐きながら頭を抱えて髪の毛をクシャッと握る

『…あの。…私が病院で寝るから…たっちゃんは…お家で寝て。』

『はぁ?』

たっちゃんが言葉を発する度にビクリと体が縮こまる。

『……体 ちゃんと休めないと…オペとかに響くでしょ。…だから。』

『……フッ。…あんな態度とっておいて 今さら優しくされましてもねぇ。』

『……。』

話がしたいと引き止めたくせに 言葉が見つからない。

たっちゃんは体を起こし 今度はふんぞり返るようにソファーに凭れかかって 腕を組み私をじっと見上げた。

しばらく無言の後 鼻で笑い

『アイツと寄りでも戻すの?』

口元にうっすらと笑みを浮かべて私にそう問う。

私は首を振り

『……ううん。…それはしない。』

戻るなんて…そんな都合のいいことは考えてはいなかった。

『…ふ~ん。…じゃあ せっかくのクリスマスの夜だし…今夜も俺に抱かれる?』

『……それは…。』

京介さんのところには帰るつもりはなかった。

だって 私はもうあの頃の私ではない。

京介さんを忘れるためだとはいえ 何度もたっちゃんと体を重ね彼の指や舌で彼色に染まってしまったから……

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