あなたの色に染められて
第25章 Reunion
『…京介くん…私たちもいるんですけど…』
『…知ってる。』
幸乃さんに軽くコツかれても京介さんの腕は緩められない。
その言葉を聞いて 京介さんの腕のなかでモソモソと動き 顔を覗かせた璃子ちゃん
目も鼻も真っ赤にしながら微笑んで やっと二人は目を合わせる。
けど…堪らないんだろうな。
京介さんはまたすぐに璃子ちゃんを腕の中に包み込んで夜空を見上げた。
『…二人でちゃんと話し合いな…っていうか 璃子ちゃんの話を聴いてあげるんだよ。』
『…幸乃さんありがとな…美紀ちゃんも。』
俺の名前は出ねぇし…後ろの先輩たちはギャーギャーうるさいし。
幸乃さんは京介さんの肩をバシッと叩きながら微笑んで
『パパー!佑樹くーん!帰るよー!』
もうすぐ照明が消える時間。
『……イテッ!……イテェって!』
二人ともスレ違いざまに京介さんの肩を思いっきり叩いてグラウンドを出ていった。
ガタンッ
『……。』
照明が落ちて一瞬で暗闇が広がった。
もう一度 ギュッとキツく抱きしめたあと 璃子を解放する。
『…ちょっと待ってろ』
俺は暗闇に璃子を残し 足早にベンチに荷物を取りに行く。
『…お待たせ。』
璃子の手を握りグラウンドを後にする。
助手席のドアを開けて座らせると 門が閉められてしまうのでとりあえず駐車場を出た。
無言の車内。
久しぶりに会った俺たちにはそれがかえって心地よかったのかもしれない。
窓の外を眺めていた璃子が口を開く。
『……いい?』
『……あぁ。』
何がいいのか…返事をしたときはわからなかった。
シフトレバーの上の俺の手に小さな璃子の手が重なる。
その瞬間 お互いの指が絡まる。
『…相変わらずだな。』
『…フフ。…やっぱり大きいね。』
『……やっぱり小せぇな。』
そう。車にのったら手繋いでたっけ。
『ねぇ。少し話してもいい?』
『…あぁ。 どっか店入る?』
この辺にファミレスあったっけ… いつも通ってる道なのにな…俺も相当緊張してんだな。
『…ううん。…運転しながらでいいから。』
『…はいよ。』
赤信号で止まり助手席に目を移す。
窓の外を見ている璃子の横顔は街の明かりに照らされていた。
『…先生と…別れたの…』
俺が一番望んでた言葉なのに
どうしてだろう…胸が苦しかった。