あなたの色に染められて
第27章 お気に入りの場所
『…はぁ…』
『…やっぱり気になっちゃう?』
『…ここまでとは…』
『本人自覚ゼロなんだけどねぇ…』
若いマネージャーたちに囲まれてる京介さん。
1年近くグラウンド通わなければ私のことも知らない子も結構いて…
腕を絡めてベタベタする子までいるなんて…来て良かったんだか悪かったんだか…
『…はぁ…』
『じゃあ 俺たちも見せつけちゃう?』
『佑樹さん!』
肩に腕を回してくる佑樹さんは相変わらずのお調子者。
『まぁ 昔からこんな感じだよ。いつものことですから。』
『…いつもねぇ…はぁ…』
『りこちゃんにはオレがいるし。』
ケンタくんは私の膝の上で 腕を組み背筋をピンと伸ばして
『あはっ…そうだったね。ケンタくんがいるもんねぇ』
そんな頼もしいケンタくんをギューッと抱きしめると
『いたいよぉ!キャハハ』
『…俺も…』
『やりません。』
大袈裟に肩をガックリと落とす佑樹さんを見てまたケンタくんがケラケラ笑った。
『随分と楽しそうじゃん。』
振り向くとさっきまでグラウンドに居た京介さんが仁王立ちしていた。
『チッ…なんだよ。きょうすけじゃん。』
ゆっくりと階段を降りながら
『はぁ?チッ…ってなんだよチッって!』
早速戦闘モードの二人
って言うか…京介さんの方が確実に突入してる感じで
『じゃまするなっていっただろ!』
『おまえさぁ。わかってる?璃子はオレのなの!オレの!』
26歳の野球少年と5歳の幼稚園児の戦い。毎回本気だから面白い。
『うるせー!うわきおとこ!』
『はぁ?浮気男っ?…なんだよそれ!って言うか…離れろよ!』
私の横にドカッと座り 肩を抱きよせ引き離そうとするけど
ケンタくんは私の腰にガッチリと腕を廻して胸に頬を埋めて京介さんにべーっと舌をだす。
『はぁ?マジでムカツクんだけど!』
『京介負けてるし…』
『黙れ!佑樹!』
『浮気男のくせにねぇ…ケンタく~ん。』
私はいつだってズバッと言ってくれる王子さまの味方で…
『璃子ぉ…勘弁してよ。って言うかぁ…離れろよ!』
『ねぇねぇりこちゃん。』
『ん?』
私が少し屈むと
…チュッ
頬にキスをしてくれた。
『ケンタ~!!マジでおまっ…はぁ…』
頭を抱える京介さん。してやったりなケンタくん。
寒空の下私の心だけが暖かかった。