テキストサイズ

あなたの色に染められて

第27章 お気に入りの場所



『大丈夫かなぁ?』

『まだ心配してんの?』

『…だって…』

小さくため息をついて 胸に手をあて俯く璃子。繋いだ手をギュッと握ってやっても 不安そうで

『いい雰囲気じゃなかったらすぐに帰ろ。俺の隣に座ってたら大丈夫だろ。』

首をコクりと振るけどこいつの不安は消えない。

居酒屋に奥様軍団が先に行ってる。璃子は今ごろになって 私が行ってもいいのかなぁ なんて心配し始めた。

繋いだ手を持ち上げて璃子の手の甲にキスを落とす。

『おまじない。』

『…うん。』

少し笑みを取り戻したけど 店の前 少し深呼吸してドアを開けいつもの座敷に入る

『璃子ー!!』

『璃子ちゃーん!!』

奥様軍団はキャッキャと手招きしてたった1つ空けられた席の座布団をポンポンと叩く。

『うわぁ~!皆さんお元気でしたぁ?』

璃子は俺の手を意図も簡単にパラつと放し その輪の中にスポンと収まるように座布団にちょこんと座って みんなとハイタッチなんかしちゃって

『…なんだよ。』

さっきまでの璃子はどこにいったのやら。もう 俺のことなんかすっかり頭にない様子。

……ったく。

俺はいつものメンバーの席に腰を下ろした。

『取られちゃいましたね。』

『…別に』

『またまた~』

本当に璃子はどこに行っても可愛がってもらって

『女同士の話もあんだろ。』

『っていうか あの席は魔女の席ですからね』

俺から離れた席で俺のオンナとして振る舞い 楽しそうにケラケラ笑う璃子が嬉しかった。


ビールを注文し壁に凭れかかると

『おい!うわきおとこ!おれもすわりたい。』

俺の最大のライバルは俺の膝を指差して

『浮気男の膝の上でもいいんですか?』

『うるせーなー。はやくすわらせろよ。うわきおとこ。』

『ハイよ…ほら。まぁ 男同志飲みますかね。』

こいつもきっと振られた。振られたもん同士俺はビールケンタはジュースで

『かんぱーい!』

『ハイ。乾杯。』

あの笑顔を肴にして呑みますかね。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ