テキストサイズ

あなたの色に染められて

第27章 お気に入りの場所



『…かわいい…』

目をパッと輝かせて指輪を直視する璃子。こいつもやっぱりこういうキラキラしたものに弱いらしい。

『どうぞ。指に通すとまたイメージが変わりますから』

そう言って璃子の前に指輪を置いた。

璃子は俺の顔を見てから指輪に手を伸ばし中指に通すけど

『…大きいや…』

細い指には少し大きすぎたようでオープンハートがグルッと下に回ってしまった。

『お直しもできますよ』

店員さんは微笑むけど 璃子は首を横に振りスッとはずしてトレーに返した。

『サイズに直してもらうには時間がないよな…』

『いいの。可愛いなって思っただけだから。』

璃子はセーターの下のネックレスのトップをそっと触って微笑んだ。

『すいません。小さいサイズのいくつか出してもらえます?』

『…京介さん…』

『少し早いけど誕生日プレゼント。そのぐらい俺にもさせてよ。』

『…でも…』

素直にありがとう…って言えばいいのにいっつも遠慮する。

『…そういうときは何て言うんだっけ?』

『…え?…』

『直也たちと飯食ったときに教わらなかったっけ?』

『…それとこれとは…』

まだ 渋る璃子の前に店員さんが指輪を持ってきた。

『こちらのデザインはいかがです?今人気のシルバーのペアリングなんですけど。』

『…ペア?…』

『二つを重ねるとこのラインが…ハートになるんですよ。』

女性用にはジルコニアがちりばめられて 男性用には緩いカーブとラインだけのシンプルなデザイン。

『わぁ。ホントだ!…でも京介さんは指輪とかしないですよね…』

『仕事の時に外すようになるからな…』

『男性の方はネックレスに通して身に付ける方もいますよ』

璃子はパッと俺の顔を見て

『ねぇ 京介さん。私にもプレゼントさせて。』

『…俺に?…』

『離れていても同じもの持ってたら強くなれそうじゃないですか』

璃子は指輪を手にとって 自分の薬指に通す。

『見て!かわいい!』

右手の甲を俺に向けて微笑む。今度はサイズがピッタリと合っている。

『京介さん…だめかな…』

首を傾げて聴く璃子にもうダメなんて言えるわけもなかった。

『いいよ。』

『ヤッタ!』

もっと高いのをプレゼントしようとしてたのに…

次にプレゼントするときは シルバーじゃなくてプラチナ

永遠をおまえにプレゼントするから

ストーリーメニュー

TOPTOPへ