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あなたの色に染められて

第27章 お気に入りの場所




『う~ さむぃ~』

京介さんの腕の中からコッソリと抜け出した朝の6時。

カーテンを開けてリビングのエアコンのスイッチをオン

エプロンを身に付けて 昨日用意しておいた食材をキッチンに並べて

さて 作り始めますか

初めて京介さんに作るお弁当。豪華には出来ないけど心を込めて作った。

…全部食べてくれるかな…

この部屋にあった味気無いタッパーにご飯とおかずを分けていれて バンダナで包む。

空がオレンジ色の朝焼けから だんだん青く染まっていく。

…いけない…早く起こさなくっちゃ…

寝室のドアを開けて まだ夢の中にいる京介さんの元へ歩みベッドサイドに腰掛ける。

私が抜け出したときと同じ横を向いて眠っている彼の髪に指をそっと通しながら

『…京介さん…』

『…んぅぅ…』

うっすらと目を開けると やさしく微笑み 髪を撫でる私の手をゆっくりと引き寄せて

…チュッ…

甘いキスをくれた。

『…おはよう…璃子…』

『…おはようございます…』

肩に腕を廻して私を抱き寄せると 彼はひとつ深呼吸した。

『…璃子の匂いがする…』

呼吸をする度に上下に動く筋肉質な素肌に手を添えると

額に唇を添えながら何度も優しいキスをおとしてくれる

『遅刻しちゃうよ。』

『…もう少し…』

『ダメ…シャワー浴びるんでしょ?』

『あ~ 行きたくねぇ』

そう言うと一度ギュッと私を抱きしめて 諦めたように大きな溜め息を吐き

『あ~ 行きゃいいんだろ…行きゃ…』

ガバッと起き上がりベッドを降り溜め息を吐きながらバスルームに向かった。



『なぁに ジロジロ見てんだよ』

『…うふふ…』

私が選んだネクタイを器用に結び 上着を羽織るその姿に見惚れてしまう。

『じゃ 行くよ』

玄関まで彼を見送り

『これ…お弁当作ったの』

差し出すと

『…ウソ…マジで…愛妻弁当じゃん…』

愛妻弁当なんて…なんだか恥ずかしい。

京介さんは笑顔でお弁当を受け取り 袋の中を覗く

『オニギリも入ってるから…よかったら朝ごはんがわりに…』

『おぉ…気が利くな』

よかった。喜んでもらえた!

『じゃあ…いってきます』

『いってらっしゃい』

…チュッ…

そっと重なる唇。

手を降りながらドアを閉める京介さん。

さてと 洗濯機回しますか…

最後の一日が始まった。

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