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あなたの色に染められて

第29章 HAPPY BIRTHDAY!



『おっ ランチはベースボールカフェか。飯まで俺仕様だな。』

誕生日まで野球三昧なんて 色気も何もないけど

パソコンとにらめっこしながら必死にチケットを獲って アメリカのスタッフに聞いたメジャーリーグのカフェも予約。

本当はどこかの夜景の綺麗なところでディナーをして その後は都内のホテルにお泊まり…なんていうのが主流かもしれないけど

学会の度にホテルに泊まる私には仕事モードというか たっちゃんを思い出すっていうか…なんか違和感があった。

『気に入ってもらえました?』

『大満足…サンキュ…璃子。』

だって やっとだよね。大切な人の生まれた日をお祝いできるって

背伸びをしたって格好つかないのはわかってる…だから私らしく祝ってあげたいなって

『早く明日にならねぇかなぁ』

恋人同士なら当たり前のことが離れて暮らす私たちにはとても難しいことで

包まれた腕の中で彼のぬくもりを感じて 唇を重ねて 微笑みあって…幸せを感じて

『…ん?…この“なんでも券”って?』

しおりの隅に作ったオマケ的なチケット。京介さんのために何かしてあげたいなって

『肩たたき券みたいな…昔 親に贈りませんでした?』

『ふ~ん。なんでもいいわけ?』

意味深に微笑む京介さん。なんだか嫌な予感がするんだけど 先手必勝…になってる?

『ダメですよ。裏の注意書も読んでくださいね。』

『…私のできる範囲で…なるほど。じゃあ 考えておこうかな。』

ニヤニヤとしちゃって。でも せっかくのお誕生日だし わがままひとつぐらい聴いてあげてもいいかなって

『私のできる範囲ですからね』

でも 一応 釘は刺しておかないと…後が怖いから…

『さてと お風呂入ってきますね。ビールもう一本持ってきましょうか?』

『いいや。…少し仕事するからゆっくり入ってこいよ』

テーブルに用意されていたパソコンのスイッチを入れて

『…んっ…』

唇を重ねると 優しく微笑んで彼の腕の中から解放される

京介さんのお誕生日まで あと少し。素敵な一日になりますように…

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