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あなたの色に染められて

第29章 HAPPY BIRTHDAY!




『…京介さん…』

『…ゴメン…』

キツく廻した腕をほどいて振り向かせ 璃子は俺のオンナなんだって 確かめるようにもう一度抱きしめた。

『…忘れたか?…俺がヤキモチ妬きなの…』

『…ごめんなさい…ウフフ…そうでしたね…』

こいつはまだ俺に対して敬語が抜けない。

『風呂入ってくる』

『はい…いってらっしゃい』



キュッキュッ

シャワーの栓を全開に開いて いつもより水圧を強め いろんな感情を拭い去るように頭から浴びた

27にもなってこの様か…

…ドンッ…

壁を叩いたって何にも状況が変わるわけじゃねぇのに…

『…だっせぇ…』

せっかく璃子が俺のためにって朝から動いてくれてるのに あんな電話ぐらいで何ビビってんだっつうの

…リセットしねぇと…



『…すげぇ…豪華…』

心を落ち着かせたくて いつもより長めに入った風呂から上がるとテーブルいっぱいに璃子の手料理が並べられていた

『…そのケーキどうしたの?…』

『…朝早く起きて作っておいたの…』

可愛ことしてくれちゃって…

唐揚げにサラダにカルパッチョ…煮物にパスタまで…

…和洋折衷…俺が食べたいって言ったものすべて並んでて

『…座って座って』

テーブルとキッチンをせっせと往復する璃子は 電話のことなんかまったく気にしてない様子

『…璃子も座れって』

『待って。グラス…』

ワイングラスをテーブルに置くとスルッとエプロンを外してペタンと俺の横に座りニコリと微笑んで

『…開けるぞ…』

…シュポン!…

せっかくの誕生日だからと奮発して買ってくれたシャンパンを璃子がワイングラスに注いでくれる

『…綺麗な色…』

璃子の顔の高さまで上げられたワイングラスはゴールドへと色を変え はじめて二人で迎える誕生日に華を添える。

『では…お誕生日おめでとうございます!』

『…サンキュ…』

…チン!…

『誕生日だからあ~ん…』

唐揚げ片手に璃子まで口を大きく開けて

『…大人をからかうな…』

『まぁまぁ遠慮しないで…あ~ん』

『…ったく…面倒くせぇな…ほらよ…』

大きく開いてる璃子の口に唐揚げをくわえさせ

『何でわたひぃ?』

グッと肩を抱き寄せて

『…いただきます…』

『…ん…』

唇ごと味わった唐揚げは

『…すげぇうまい…』

『…もう…』

世界一だな…

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