あなたの色に染められて
第4章 彼の背中
『大丈夫か?』
優しく問いかけながら私の頭を撫で髪の毛にキスを落としてくれた。
彼の鼓動が聞こえる特別な場所。
私はコクリと頷くと安心からなのか涙が自然と溢れてきた。
『ったくアイツはろくなもんじゃねぇな。』
私はやっと動いた腕を京介さんの腰に回し力いっぱい抱きしめた。
『ゴメンな。』
彼は私の髪に顔を埋めながらゆっくりと髪の毛を撫でてくれる。
『…京介さん、ありがとうございます。』
やっと言葉を紡げると京介さんはニコリと微笑んで私の額にキスをくれた。
『お前もスキがありすぎるんだよ。璃子は誰のものだっけ?』
イタズラに聞いてくる。
『誰の?』
『そう誰のもんだっけ?』
…そか、そう言うことか
『…京介さんのです。』
お互いに目を合わせてクスッと笑いあって
『そう、正解。オレのだからな。』
スゴく優しく微笑むと一瞬で唇を奪われた。
…チュッ
それは何度も何度も啄むような甘いキスで
『…もうっ…誰かに見られちゃいます。』
『いいの、誰かさんが他の男に抱き締められた罰。ほら…集中しなさい。』
それは私の不安を少しずつ削ってくれるようなキスで
…チュッ、チュッ
もう俺のものだって魔法をかけてもらったようなキスだった。
*
『今日 美紀ちゃん仕事で来てないんだろ?俺 ちょっと行きたいとこあるから練習終わったら付き合ってくんない?』
残りの洗い物を二人で並んで片付けながら交わす会話。
『一緒に行っていいんですか?』
『当たり前だろ。俺のなんだから。』
『そうでしたね。じゃあ 「オ・レ・ノ」だからお供します。』
今日はお家に帰っても一人だから助かるな。なんて幸せ気分でコップを濯ぐ。
『シャワー浴びてから出るから少し待たせちゃうかもだけど車で待っててよ。また面倒くせーのが来ても困るし。』
『はい…では、お言葉に甘えて。』
頭を優しくポンポンとしてくれると洗い終わったコップを持ってくれる。
『持ちます。』
『いいよこのぐらい。』
少し後ろを歩く私
『すいません。』
彼の背中はとても大きい。
その背中にすっぽりと隠れる私はこれからこの背中に守ってもらえる。
そう思ったら自然と手が延びて彼のTシャツの裾を掴んだ。
京介さんはふり返り優しく目を細めて微笑んでくれた。