あなたの色に染められて
第33章 幸せのカタチ
軽井沢からの帰り道 お土産を持って京介さんの実家にお邪魔した。
『可愛いでしょ?初めての女の子だからメロメロで。』
半年前に産まれたお兄さんたちの可愛い女の子 栞ちゃん。
『本当 可愛い。』
お義母さんと香織さんと3人でクーハンで寝ている栞ちゃんを覗きこんで。
『これ…よかったら…。』
アメリカで選んだ少し大きいサイズのベビー服。
『わぁ。可愛い!璃子ちゃんありがとう!』
『いつかこんなスカート履いて歩くのね。』
赤ちゃんの力って本当に凄くて。知らない間に誰もが目を細めて 回りの雰囲気をパアッと明るくする。
『栞ね… 京介くんのことが大好きなのよ。抱っこしてあげるとニコニコして私が「おいで」ってやってもイヤイヤして離れないのよ。』
京介さんもすっかりメロメロのご様子で。
『帰りの車のなかでもずーっと栞ちゃんの話でしたから。』
そんな京介さんは事務所にお土産を届けに行っていた。
『京介さんあんまり野球行ってないみたいですね。』
『そうよ頑張ってるの。早く即戦力にならないと って土日も出勤してお父さんと竜介の手伝いしたり。』
『社員のみんなも感心してたわよね。』
昨夜 京介さんから聞いた話を思い出した。
…帰ってきたらうちを手伝わないか…
『あのぉ お義母さん。』
『なぁに?』
『私…春に帰ってきたら…。』
『あら 京介から聞いた?本当は明日からでもお願いしたいのよ。春に産休に入っちゃう事務の子もいるし。』
お義母さんは手をパチンと胸の前で合わせて首を傾けて
『本当に私なんかでいいんですか?他の皆さんの迷惑になりませんかねぇ。』
せっかく京介さんが頑張っているのに私が水を差してしまうんじゃないかって
『何言ってるのよ。璃子ちゃんの語学力をみんな待ち望んでるのよ。』
『詳しいことは竜介から聞いて?璃子ちゃんの悪いようにはしないから。』
幸せだなって思った。
語学力を活かした仕事がしたいと思ってたのに諦めて医療事務の仕事をして…京介さんとお付き合いするようになって結局は一番やりたかった仕事に携われている。
そして今 大切な人の家族に誘われて新たな一歩を踏み出そうとして
『検討してみてくれる?』
この一歩を踏み出せば二人で願った幸せが輝いてるんだ。
『はい…ぜひ…。』
私はこんなにも恵まれて…幸せだった。