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あなたの色に染められて

第34章 キミを想う


衝撃的って言うのか…電撃的って言うのか…。

スクロールするとレンズに向かって優しそうに微笑んでいたり ポーズをとる美紀ちゃんの後ろでお土産を手に持って品定めをしてたり 端っこの方でプーッとほっぺを膨らまして向かいにいる子を睨んでいたり…。

たった4~5枚の画像の中で彼女は表情をコロコロと変えていた。

…ウケる…。

フレームの中心にいる訳じゃないけど こんなにも俺を惹き付けるのは 透き通るような白い肌のせいなのか それとも薄茶色な瞳と髪のせいなのか…。

『好みの子いました?』

直也は横から覗き込んで 一人の女の子を指差し

『この綺麗目な子でしょ?京介さんのタイプっぽい。』

直也が指差したのはグループの中でも長身でスタイルのいいモデル風の女の子。

そう。俺がいつも遊んでるタイプの女の子。

でも 俺は直也のその言葉を無視して

『なぁ。この小っこい女も同級生なの?』

『…え…。あぁリコちゃんですね。この子 すげぇ可愛いでしょ。でも…この子は京介さんのタイプじゃないですよね。』

そう 可愛いけど俺が今まで遊んだ女のタイプじゃない。

『その子ね…。びっくりするほど男が苦手みたいで…。すげぇモテるのにまだ彼氏出来たことないって。…まぁ 関係ないか…京介さんそういう面倒くさい子嫌いですもんね。』

直也が言う通りだった。俺は面倒くさい女が苦手。

毎日連絡くれだとか 今日も明日も一緒に居たいだとか 旅行に連れてけだとか 私のこと好き?だとか…。

だから 遥香と別れてから適当に付き合って面倒になったら別れて…。今じゃ特定のオンナを作ることもない。

『っていうか…京介さんはオンナに不自由してないですもんね。』

直也はスマホをしまって代わりにグローブを手にとって

『久しぶりに付き合ってくださいよ。』

『しょうがねぇなぁ。』

ベンチの前でキャッチボールを始めた。


どうしたんだろ。俺らしくねぇ。

あの子の笑顔が頭から離れない。

男がすげぇ苦手なんだろ?彼氏もいたことないんだろ?

じゃあ 面倒くせぇオンナ確定じゃん。

それなのに この日から俺の心にリコチャンが住みついた。

見上げた空に一本の飛行機雲。

あの子はこの澄んだ青空のように純粋なんだろうな…。

このときは気づかなかったんだ。

俺の小指に赤い糸が結ばれたって。

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