
あなたの色に染められて
第35章 幸せのタネ
…チャポン
『おまえはいつまでそうやって恥ずかしがるんだろうな。』
今日は職場で私の歓迎会を開いてもらい 二人でほろ酔い気分で京介さんのマンションに帰宅した。
勤め始めて一週間。事務の人たちをはじめ 職場の人たちは本当にいい人ばかりでついついお酒も進んでしまった私。
だからかな…京介さんからのお風呂のお誘いをいつもなら全力でお断りするのに今日は首を縦に振ってしまった。
でも 入ってみてやっぱり後悔。先に入らせてもらい髪も体も洗ってから京介さんを迎え入れた私。
『髪洗ってよ。』
『見ない?』
『見る。…ウソ見ないから。』
いつまでたっても慣れない私。洗い終わってバスタブに二人で沈むけど
前よりも広くなったバスタブのせいで京介さんに凭れかかる私の体は丸見えだと思う。
『今さら隠すことねぇだろ。ほらよっ。』
『…うわっ!』
腰に廻された腕を引き寄せて 私の背中と京介さんの胸板がぴったりとくっつき
『…キャッ。』
『プニプニ。』
『…フン…どうせプニプニですよ。』
『バーカ。これがいいんだって。』
帰国してから今日がはじめてのお泊まり。だからかな。さっきから京介さんが話すたびに私の耳に触れる唇を感じてしまえばこの後のことを期待してしまう。
『…京介さん。』
『…ん?』
『私がいない間 寂しかったですか?』
離れているときに聴けなかったこと。もし「逢いたい」と言われてしまえば私はきっと自分を責めていたから。
『寂しいっていうより…キツかった。』
京介さんの指が私の腕をなぞって指を絡めとる。これからはいつでもこの大きな手で私を包み込んでくれる。
私は少しだけ体を横に向けて京介さんの肩に首を凭れかけて体の全部を京介さんに預けると
京介さんは長い指で私の唇をなぞり 顎を持上げて視線を合わせ
『触れたくて…ずっと我慢してた…。』
その射抜くような瞳に吸い込まれるように私の手は京介さんの首廻り
『…京介…』
ゆっくりと重なる唇。
『もう 離れんなよ。』
『…うん。』
『ずっと俺の傍にいろよ。』
『…んっっ。』
それはそれは甘いくちづけ。
『早く抱きたいんだけど。』
『…エッチ。』
額を合わせて微笑む私たちはこれから会えなくて寂しかった日々を埋めていく。
『なぁ しよ?』
答えはイエスかハイだけだよね?
