あなたの色に染められて
第38章 サプライズ
『痛たた…。』
『ブッ。ウケる。』
中庭のベンチに腰を掛け 璃子が作ってくれた弁当を二人の間に広げてピクニック気分の俺と朝の疲れと格闘する璃子。
『オバサンじゃねぇんだから。』
『笑いすぎです!』
見学会の初日を無事に終えた安心からか 二人ベッドに入るとあっという間に夢の中へ旅立った。
『指だけにしとけばいいものを 欲しがるから。』
『ちょ…ちょっと!声が大きい!』
柔らかな感触を少しだけ確かめようとしただけなのに 触れてしまえば求めてしまうもので
『俺は別に聞かれてもいいけどぉ。』
『京介さん!』
キスも大した愛撫もしねぇで拘束するように後ろから攻めあげて。
でもそんな俺の欲求を璃子はしっかりと受け止めてくれて
『唐揚げも食いたかったなぁ。』
『だから~。』
それでもおにぎりとウインナーと卵焼きを手際よく作ってくれて
『明日はこの前話したラーメン屋に連れてってやろうか?』
味を占めた俺は 明日の朝だって懲りもせず璃子を求めてしまいそうで
『ホント?』
弁当なんか作る時間 与えられねぇと思うから
『あ~でも 餃子は我慢だな。あそこのニンニクばっちり効かせてっから。』
『残念。…あっ!でもさ もう一つおすすめだって言ってた炒飯は?京介さん食べます?』
そんな俺の野望なんて知る由もなく 今度はオニギリ片手に明日のラーメン屋の話に目を輝かせて
『当たり前だろ。ネギ味噌と炒飯はあの店のテッパンだからな。』
『じゃあさ じゃあさ… 一口お裾分けしてほしいです!』
どこに連れてけだとか アレを買って欲しいだとか おまえは全然ワガママ言わねぇから
『ムリ。』
『え~!一口ぐらいいいじゃないですか。』
だからだな。璃子の笑顔が見れるならなんだってしてやるよ。
『ダメ~。』
『ケチ!ケチケチケチ!』
プウッと頬を膨らませてオニギリを頬張って
『じゃあ…。』
少し期待の持てそうな言葉を前置きすると今度は目をキラキラと目を輝かせて
『…じゃあ?』
『裸でエプロン着けてくれたら食わしてやっても…。』
『もう!京介さん!』
首まで真っ赤に染めて怒ってちゃって。
『じゃあ あげなーい。』
おまえに出会って俺はどのぐらい笑っただろう。
『ケチ!』
なぁ…璃子
おまえの笑顔が見れるなら俺は他になにもいらないよ。