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あなたの色に染められて

第6章 アフォガード

『…大丈夫か? はじめてなのに無理させちゃって。』

京介さんの胸に抱かれた私はとても不思議な気分だった。

『なんだか変な感じです。ボーッとして…フワフワしてるって言うか…』

でもそれは京介さんのモノになったんだって証しなのかもしれない。

『痛かった?』

『…はい、でも京介さん…優しいから…』

まただ、溢れる涙を止めることができない。

『バカ…俺が悪いのに泣くなよ。』

『エヘヘ…だって…』

私はいつからこんなに泣き虫になったのだろう。

ギュッと抱きしめられると涙を拭ってくれながら甘いキスを落としてくれる。

『私 京介さんのキス…大好きなんです。唇と唇でお話ししてるみたいで…好きだよとか嬉しいよとか…私の思いが伝わってるかなって。』

『お話ね…おまえらしいな。璃子といると不思議なんだよな。今までキスをこんなにしたことねぇもん。』

…やっぱり…だよね。当たり前だけど京介さんには私以外にもキスをした人がいたんだよね。

手を繋ぐのも こうやって愛を確め合うことも…今までの彼女さんは当たり前のようにしてもらってきたんだ。

私はすべて京介さんが初めての人なのに…。

『…おい待て…ちょっと…おい。どうしたの?』

何が起こったのかと私の顔を覗き込んで

『だって… 京介さんは経験豊富なんでしょ? … キスだって…エッチだって。』

こうやって腕の中で余韻に浸ることだって

『…そりゃ 俺だって25だし…。誰とも経験なかったらそれこそ怪しいだろ。』

わかってる…わかってるけど。

『…でも…。』

ふわっと抱きしめられると私の足に京介さんの長い脚が絡まって 拗ねる私を体全部で包み込んで

『…俺ね 璃子がはじめてだよ。ヤってるときに こんなにも愛しく思ったの。こいつも気持ちよくさせてやりてぇなぁ。ってさ。』

『…ホント?』

『…ホント。璃子の気持ち良さそうな顔してるとうれしくてキスしちゃうし…痛くて苦しそうだと俺のためにありがとうってキスしちゃうし…。』

額を合わせて微笑み

『どれだけ強く抱きしめても足りねぇの。俺のなかに溶けちゃえばいいのに…って。』

『それって…アフォガードだ。』

夏樹さんが優しく微笑みながら私に言ってくれた言葉なんだよね。

ねぇ京介さん

私はもっとあなたに溺れるよ。

だからお願い。その甘いキスで私を迎えてね。

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