あなたの色に染められて
第41章 あなたの色に染められて
『…綺麗だね。』
式場を出て二次会の会場まで車を走らせるとビルの谷間から茜色の空が望めた。
『なんだか空にもお祝いしてもらってるみたい。』
そんなことを言いながらニコリと微笑むから
『森田璃子さん?念願の嫁さんになったご気分はいかがですか?』
『ウフフ…幸せです。』
俺はその愛らしい頬を空と同じ色に染めたくなる。
結婚式は思ってた以上にいい雰囲気の中でお開きになった。
料理やお酒それ以外にも列席者を和ませる工夫が随所に施され
「いい結婚式だったよ。」
お見送りの際に満足そうに帰るたくさんの笑顔に出会えて お袋と璃子がとれだけ用意に時間を割いてくれたのかが分かった。
『ねぇ京介さん。二次会のお話ってどこまで知ってますか?私 ドレス着させてもらえるってことしか知らないんですけど…。』
そりゃそうだよ。おまえにはトップシークレットだったんだから。
『大丈夫。直也たちがしっかり幹事やってくれてるから璃子は楽しんで。』
また そんな幸せそうな顔して…。
でも その幸せそうな顔は会場に着けばきっと もっと華やぐだろう。
だってアイツらはその極上の笑顔が見たくって本気で動いてくれたんだぜ。
***
『遅いよ京介!』
会場に車を止めると入り口にはもうアイツらがスタンバっていて
『璃子ちゃんはこっちね。』
璃子は魔女たちに手を引かれ奥の別室へ。
『バレてないんだ。』
『みたいだな。』
キョトンとした顔して連れて行かれる様は まぁ予想通りと言うか期待通りと言うか…。
『ところで準備はもうOK?』
『任せろよ。あと一時間だろ?そろそろ人も集まりだすと思うし。』
会場まで階段を上がると
『プッ…。なんだよこれ。』
そこにはパステルカラーの花たちがところ狭しと飾られた受付台。
『やりすぎだろ。』
どこから入手したのか俺たちの微笑み合う写真で作られた可愛らしいウェルカムボード。
溜め息混じりに先に見せてもらった会場は 二次会会場じゃなくて もう披露宴会場。
『俺たち璃子ちゃんのためにやってるから。』
受付台と同じパステルカラー花とバルーンが各所で揺らめいて
『なっ?魔女たちの手にかかるとすげぇだろ?』
コイツらほんとにどれだけ璃子が好きなんだよ…。
『…サンキュな』
ヤバイ…俺が先に涙を流しちまいそうだ。