あなたの色に染められて
第41章 あなたの色に染められて
『スゴいでしょ~。』
『まぁ 私たちの手にかかればこんなもんよね。』
魔女たちに許可をもらい璃子が待つ部屋に入れたのは始まる10分前。
『いつまでそこに突っ立ってんのよ。』
扉の前で俺は動けなかった。
『あの…変ですか?もうひとつのドレスの方がよかったですか?』
璃子は眉を八の字に下げて 不安そうに俺を見つめるけど
『…いや…いいよ。』
毎度のことながら気の利いた台詞を吐けない俺は魔女たちから失笑されることになる。
『時間になったらちゃんと出てきなさいよ?』
俺の肩をパシッと叩いてニヤリと笑いながら
…グロスとれない程度にしといてよね…。
俺だけに聞こえるようにそう言って 魔女たちは満足げに部屋を出ていった。
『…京介さん?』
璃子に呼ばれやっと1歩前に踏み出して
『やっぱり京介さんは何を着ても似合うんですね。』
溜め息混じりにそう言うけど
『可愛い姫を引き立たせるためだろ?』
璃子に合わせて着たのはロングのタキシード。
愛らしいその顔から笑顔が弾けると同時に俺はふわりと璃子を包みこんだ。
『すげぇ可愛い…見惚れたよ。』
髪をハーフアップにまとめ パステルカラーの花冠を頭にちょこんと乗っけて。
『よく見せて?』
『…なんか恥ずかしい。』
結局 璃子は胸に大きなリボンが付いたエンパイアラインのドレスを選んだ。
上質なレースを使ったシンプルなそのドレスは璃子をより華やかに引き立て
『似合ってる。でもな…やっぱりオッパイ気になんだけど。』
『キャッ…もうエッチ。』
少しぐらい触れさせろよ。腰を抱いてるぐらいじゃ満足できねぇって
『キスしようか?』
『ダメ…せっかく綺麗にしてもらったのに…。』
『誓いのキスだよ?』
『誓いの…キス?』
俺を見上げると 首を少しだけ傾けるコイツの可愛い癖。
そっと頬に手を添えれば目をキョロキョロさせながら動揺して
『お…お化粧落ちちゃう。』
『…シー。』
柔らかなこの感触は何度味わっても俺を虜にする甘い果実。
『ほら グロスついちゃったじゃん。』
レースのハンカチで俺の唇をそっと拭う璃子の華奢な手を掴み
『今のは予行練習。』
『…はぃ?』
また そんな顔して
『さぁ行くよ。これからアイツらの気持ちがたくさん詰まった結婚式を挙げるよ。』
『はぃ~?!』