あなたの色に染められて
第41章 あなたの色に染められて
『次は新婦さんから新郎にあ~んして下さい!』
『いきま~す…あ~ん!』
『んぅ!』
『新郎さん 顔真っ赤ですよ!』
『うるへー!なおあ!』
こぼれるほどアイスを頬張った京介さんは
『ほら 喋らないで下さい!』
璃子ちゃんに汚れた口元をナフキン拭われるとクスクスと二人で笑いあって
最初は普通にケーキカットしてそのケーキを食べさせ合うつもりだった。
けど美紀から二人のアフォガードの話を聞いた俺たち
『これで新郎は新婦にを一生食べることに不自由させないこと、新婦は新郎のために美味しいご飯を作り続けることを誓いました。』
二人が信頼してる夏樹さんのお店に出向き 協力してもらえないかと頭を下げると
「喜んで!」と二つ返事で快諾して頂き さらに料理まで全面的に担ってくれた。
主役の二人以外はその美味しい料理を片手に立食形式で気のあった仲間と談笑したり
『璃子ちゃん一緒に写真撮ろうぜ!』
二人のもとにお祝いを伝えに行ったり
『おまえ 近いんだよ!もう少し離れろ!!』
いつものようにとても和やかな雰囲気でパーティーは続いていた。
『直也…おつかれさん。』
『あっ。すいません。』
長谷川さんは俺にグラスを手渡すとそのまま肩に腕を置いて
『璃子ちゃん喜んでくれてる?』
『そうですね…あの笑顔を見ると大成功じゃないですかね?』
時折二人で微笑んで見つめあって テーブルの下でコッソリと指を絡めあって
『いつ見てもあの娘の笑顔は堪んねぇな。』
『ホント…京介さんにはもったいないぐらいですよ。』
俺たちのアイドルは本日をもって本当に京介さんのモノになってしまったわけで
『さて あのデレっとした顔を赤くさらに染め上げますか?』
最後の仕上げ…。っていうか京介さんにも秘密にしてた俺たちからのサプライズ。
『はーい!みなさーん!こちらに注目してくださーい!』
司会者席のその横の大きなスクリーンにパッと写し出されたのは
茜色の夕陽が望めるいつもの俺たちの球場
『…はぁ?』
二人ならもう分かるよね?
グローブをはめてボール片手にマウンドに駆け寄る璃子ちゃんと
『ヤダ…これってもしかして?』
それを待ち構えるユニホーム姿の京介さん
『マジかよ…隠し撮りしてやがったか。』
俺たちこの日 泣きながらビデオカメラ回したんだぜ?