あなたの色に染められて
第7章 I miss you
午前10時
京介さんが帰ってくるのはお昼過ぎだけどゆっくり寝てなんていられなかった。
…お昼はパスタで…夜は時間もあるし何を作ろうかなぁ
私は彼の家の近所にあるスーパーに寄って商品を吟味して
…よし!ビーフシチューにしよう!
足早に彼の家へと向かった。
『カギは…よし。』
ちゃんとポストに入ってて
カチャ…ガチャン
『おじゃましまーす。』
彼のいない部屋の扉をゆっくりと開けると
『ウフフ…やっぱり…』
四方八方に散らばった靴を対にして並べ リビングの扉に手を掛けると
『まったく…』
扉の手前にある洗面所には洗濯物が山となっていて
冷蔵庫に食材を入れるとお部屋全部の窓を開けて
『よし!やりますか!』
彼の家に置きっぱなしのエプロンを身につけて洗濯物から取りかかった。
色物とYシャツを分けてスイッチを押して
『さて、掃除掃除。』
今度は雑誌や新聞、小物たちをもとの場所に帰して
『布団も干しちゃおうかなぁ…』
スイッチが入った私はスリッパを鳴らしながら部屋中を駆け巡る。
太陽に照らされる洗濯物を眺めながら
…なんかお嫁さんみたい。
なんて、考えてると時計の針はもうお昼を過ぎていて
『いけない、お昼の用意しなくっちゃ。』
やっとキッチンに立ち夕御飯も含めたお料理の用意を始めた。
いつの間にか私仕様になったキッチンで手際よく用意をしていると
カチャ
『ただいまー。』
待ちに待った彼が帰ってきた。
『おかえりなさーい!』
私はすぐさま玄関に顔を出し彼の鞄を受けとると
『すげぇ綺麗じゃん!もしかして洗濯も?』
目を丸くして部屋を見渡し
『ありがとな。』
私の額に唇を落とした。
『京介さん…』
久しぶりに重なる視線
そっと手を引かれると大きな胸の中にすっぽりとおさまると
…京介さんの匂いだ。
『…逢いたかったです。』
『俺も。』
胸がドキドキと音を立てるけど、それが反って心地よい。
『いい子にしてた?』
『はぃ。』
『じゃ。ご褒美あげないとな。』
京介さんは大きな手を私の頬に添えて顎をクイッと持ち上げると甘いキスをくれた。
久しぶりに感じる冷たい唇にすぐに溶けてしまいそうになるけど
…グ~~ッ
『やべぇ。』
京介さんのお腹はどうやら違うものを食べたいらしかった。