あなたの色に染められて
第9章 jealousy
熱いのに体の震えが止まらない。
ピピピピッ…ピピピピッ…
『やっぱり…』
手元の体温計は38度越え
『最悪…』
昨日の寒気は風邪を引いたサインだったんだ。
『…喉乾いた』
久しぶりの高熱だった。
…これじゃ応援いけないなぁ
でも内心ちょっと安心してる自分もいたりする。
『どうせ私が行ったって…』
京介さんと遥香さんは仲良く肩を並べてベンチに座ってるだろう。
昨日 LINEを送ったあとすぐにスマホの電源を落とした。
だって電話が掛かってきても何も答えられないし 掛かってこなかったらそれはそれでもっと闇に落とされるし
きっと 二人で仲良くゴハン食べて昔話に花を咲かせてドライブしながらでも送り届けてるんだと思う。
私の知らない話をたくさんしながら
…これでよかったんだ。
『水…』
地に足が着いてるのかさえもわからないほどフラフラする体でキッチンに向かい
『あった。』
冷蔵庫からミネラルウォーターをとりだし解熱剤と風邪薬を流し込んで喉を潤す。
…治さなきゃ
明日は仕事休めないんだ。
とにかく熱を下げなきゃ。
もう一度ベッドに潜り込んで天井を見上げる。
目を閉じて眠りにつこうとするけれど 昨日の光景が瞼に鮮明に映し出されて自然と涙が溢れてくる。
…昨日あんなに泣いたのに
駅までだって追いかけてきてくれなかったじゃない。
“彼女”ってなんだろ。
特別なんじゃないのかな?
彼の隣って歩いているときも座っていても、車の助手席も 全部“彼女”の指定席だと思ってた。
…あ
遥香さんと挨拶したときに胸を張って京介さんの彼女です。ってちゃんと挨拶しなかったから?
…でも
京介さんだって“俺の彼女だよ”って言ってくれなかったの?
いつも“俺のだから”って言ってくれるのに
…もうやだ
実際にその場から逃げ出したのは私だけど あの場面で後部座席に座り後ろから二人の様子を眺めていられるほど私は恋愛上級者じゃない。
…早く治さなきゃ。
私は涙が溢れ続ける目を閉じて大きく息をする。
…夢だったらいいのに
次に目を開けたら幸せが待ってますように…