あなたの色に染められて
第10章 仲間
祝勝会の行われる居酒屋に向かう途中 腰にけだるさの残る私はさすりながら歩いていると
『ちゃんと歩けって。』
『歩いてます!』
彼は私をからかってくる。
私の手を引きながらクスクスと笑う京介さんは優勝を決めたあの瞬間からずっとご機嫌だった。
『そんなに攻めてねぇだろ?』
私の耳元でイタズラに囁く彼は正しく確信犯
『笑わないでください!』
そう言って睨み上げても全然効果なし。
いや 反って虐める材料を提供してるようなもので
『おまえチョコチョコ歩いてペンギンみてぇ。』
私の歩き方を真似する始末。
『やめてください!』
繋いだ手を離しプイッと横を向いたって 弄る材料を増やしてしまうだけ
『璃子はエッチだもんなぁ。』
『あ…あれは京介さんが…』
彼の体を身を任せすぎた結果この始末。
『腰まで振ってたくせに。』
『京介さん!』
でも、やっとこんな話が出来るようになったんだ。
『ハハッ…俺もそろそろ本気だすから璃子ももう少し体力つけとけよ?』
『はぃ?』
肩を抱き寄せ耳にキスを落としてそれはそれはご満悦な顔して
『顔真っ赤。』
赤く染まった私の頬をチョンとつつくと勝手に指を絡ませて歩きだした。
…ハァ…お泊まりなんかしたらこりゃ大変だよ。
そんなことを考えながらも彼の横顔を斜め後ろから眺めて歩くのはやっぱり幸せな瞬間。
でも そんなに幸せな顔してもいられない。
この角を曲がればもうそこは祝勝会の行われる居酒屋さん
繋いだ手をそっと離そうとすると
『…京介さん?』
『堂々としてろよ。俺と手繋いで入れば遥香も気づくだろ?』
ギュッと握り返してきた。
『…はい。』
私もその大きな手を握り返すと
『今日は祝勝会だからいつも来ない嫁さんとか子供とか彼女とか結構参加すんだよ。』
『そうなんですか?』
『だからその…みんなに紹介するから…俺のオンナだって。』
頬を染めながら京介さんは小さな声で宣言してくれた。
『…ありがとうございます。』
クスッと私に微笑んで 私の手を引っ張ると
『こんばんわー!』
威勢よく暖簾をくぐった。