あなたの色に染められて
第10章 仲間
『京介さーん、こっちこっち!』
お部屋は子供も来るので広いお座敷。
『悪い、コイツがトロトロ歩いてるから。』
『歩いてません。』
手を離すこともせず堂々と彼の後ろを歩いてテーブルまで向かうと
『見せ付けるねぇ。』
『うるせぇよ。』
いつものメンバーが揃うテーブルに京介さんと肩を並べて腰を下ろした。
*
『カンパーイ!』
長谷川さんの音頭でグラスを高く競りあげるとテーブルのあちこちでグラスが重なる音が鳴り響いた。
すると佑樹さんが唐突に
『おまえマジでキャラ変わったな。』
京介さんをコツキ始める。
『そうか?』
佑樹さんは相変わらずお調子者だけど
『璃子ちゃん、コイツこんなタイプのヤツじゃなかったんだぜ。』
『そうなんですか?』
話してみると結構、世話好きというか盛り上げ役というか
『京介がオレらの前で手繋ぐなんてな?』
『そうですよ、京介さんと言ったら女子に冷めたいキャラで有名でしたもんね。』
『そうなんですか?』
確かにオレ様気質なところはあるけど そこまでなの?
『璃子ちゃんが居るのと居ないのじゃコイツ全くの別人だから。』
長谷川さんまでも話にのってくる。
私はもっと話が聞きたくて前のめりになると
『もういいだろ。』
京介さんは少し頬を染めながらみんなをジロリと睨んだ。
すると京介さんに救世主が現れる。
『りこちゃん。』
『はぁぃ?』
振り返ると私のシャツを引っ張る長谷川さんの息子さんのケンタくん
『一緒に遊ぼっ!オレ色鉛筆と紙と…トランプ持ってきた!』
『いいよ。』
笑顔いっぱいのケンタくんは私の膝に座ると
『おい!ケンタ!おまえどこ座ってんだよ!』
こんな幼稚園生に目くじら立てる京介さん
『なんだよ!邪魔すんなよ!』
それに負けじと張り合うケンタくん
この二人は顔を合わせればいつもこんな調子
『京介さんいいじゃないですか。』
ケンタくんの肩を持つと フンっと得意気に京介さんを見上げる。
『京介が負けてる。』
『うるせぇ!』
テーブルのみんながこの状況を見て一斉に笑いだす。
『ケンタ、おまえ覚えてろよ。』
ドスの効いた声で脅しても
『りこちゃんアンパンマンかいて。』
『いいよ。アンパンマンね。』
ケンタくんはニカッと笑って京介さんにピースした。