あなたの色に染められて
第11章 ご挨拶
『ママ、お風呂洗っておいたよ。』
『いつもありがとう。』
お風呂上がりにリビングに顔を出すといつものようにソファーに並んで座る私の両親
『璃子も飲む?美味しいワイン開けたから。』
『じゃあ、少し飲んじゃおうかなぁ。』
パパに注いでもらったワイングラス。
『美味しいだろ。』
『うん、これは確かに!』
久しぶりに家族3人でリビングでのんびりと過ごす時間。
仕事の話やママの作ってくれたオツマミのお話に花を咲かせていると
『ちょっと聞きたいんだけど…あなた彼氏出来たでしょ?』
『おぃ、璃子本当か?』
ママは私にすり寄りながら直球を投げてきた。
『…え?あの…っ…はぃ。』
普段と変わらない生活をしていたつもりなのにママって鋭い。
『だと思った。最近色気付いたと思ったのよ。土日の帰りも遅いし…』
なんだかママはとっても嬉しそう
『なぁ本当か?』
それに引き換えパパは溜め息混じりに最終確認
『ちゃんとね、いつか紹介しようと思ってたの。京介さんにもご挨拶したいって言われてたから…』
『あら京介さんって言うの? どんな人?年は?イケメン?』
うちのママはノリがいい。身を乗り出して目を輝かす。
『ちゃんと話すから。えっと…○○信用金庫に勤めてて、歳は私の三つ上。美紀の彼の野球部の先輩なの。』
私はグラスを両手で持ち 視線を下げながらゆっくりと話した。
『信用金庫に勤めてるなんてお堅いじゃない!それにスポーツマンで年上なんて…いい人見つけたじゃない!』
『痛いよママ。』
『他には?』
『もういいじゃん。』
ママは大興奮で私の首に腕を巻き付けて抱きついて私に尋問を始めると
『…璃子。』
パパが優しい顔してまっすぐに私を見すえると
『大事にしてもらってるか?』
『…うん。』
『そうか…彼は酒呑めるのか?』
『呑むよ。』
初めて味わう切ないようで暖かな空気が流れると
『今度飯でも食いに連れてこい。酒 用意しておくから。』
『いいの?』
『その男がいい男かパパが見定めてやる。』
なんてわざとらしく腕をくんで偉そうに
『今週末にでも連れてくれば?。パパも私もおうちにいるから。』
善は急げとお話がトントン拍子で進み始める。
『ねぇ、何作ろうかしら?』
こんなに喜んでくれるならもっと早くに報告すれば良かったな。