あなたの色に染められて
第12章 学会
3日目も前日と同じようなスケジュールをこなし
4日目の朝食をラウンジで先生と予定を確認しながらとる。
『今日は俺だけの会食とかあるから ホテルのスパでも行ってこいよ。』
厚切りのトーストを頬張りながら
『……スパ?』
『エステって言うの?このホテルでやってくれるとこあんだって。』
『……エステですかぁ。いいです。部屋でのんびり待ってますよ。』
クスッと笑って
『今日で半分だろ。よく頑張ってくれてるからご褒美だな。もう 予約入れといたから リフレッシュしてこいよ。』
『だから…お金使わないでください。こんなところでエステ行ったらいくら取られるかわからないですよ。もう 色々やって頂いてますから。』
コーヒーカップを少し乱暴に置いて
『ホントうるせーな。いいから行ってこいよ。感謝してんだから。』
えっ?
さらっと言ったよね。
『……じゃあ。お言葉に…甘えて…。』
優しい顔をして
『それでいいんだよ。この一週間は俺のオンナなんだから甘えろ。なっ。』
『……先生。』
『夜は約束のフレンチな。バタバタして璃子との約束も守れてないし…』
『……うふふっ。じゃあ。…お言葉に甘えて。お腹いーっぱい減らして待ってますからね。』
先生は大分見慣れた微笑みを私に向けた
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お昼過ぎからスパに行き 先生が予約してくれた一番イイコースを存分に堪能した。
ネイルまでやってもらえるとは……
私は部屋のイスに腰を掛け 暗くなり始めた札幌の街に腕を伸ばし自分の爪を重ねて 静かに眺めていた。
今日は土曜日。京介さんはたしか相談会と会議って言ってたっけ。
明日は天気がよければ午後から試合だったはず。
京介さんのユニホーム姿みたかったなぁ…
毎日 少しの時間だけど二人で甘い時間を楽しんでいた。
“早く帰っておいで。”
“早く逢いたいです”
“…愛してるよ”
“……私も”
今日は電話はムリかな。
仕事の時間を邪魔したくなかったから
LINEに
“お仕事お疲れさま。あと3日。早く逢いたいな。”
窓の外にはキレイな光が瞬き始めた。