あなたの色に染められて
第12章 学会
『お待たせしました。』
先生から連絡が入り ロビーに降りる。
『おっ。かわいいじゃん。』
私の頭にポンと手を置いて微笑んだ
『うわっ。……すごーい。』
『……そんなにキョロキョロすんな』
クスクスと肩を震わせる先生。
別のホテルに入っているフレンチのお店に入店。
『……だって。凄い高級店ですよね? もう少しカジュアルなお店かと思ってたんで。』
『フフッ。おまえはいつもそうだな。璃子へのご褒美なんだからこのぐらいの所じゃねーとな。』
『…ただ横に立ってるだけなのに。申し訳なくて。』
『だから。そういうのナシ。
俺のオンナじゃなかったっけ?甘えておけばいいんじゃなかったっけ?』
私の顔を覗き込むように大人の笑顔を見せる。
『……もう。先生///』
『先生。エステ ありがとうございました』
『リフレッシュ出来たか?』
『はい。すごくステキな時間でした。』
『なら よかったな。』
この雰囲気に慣れてきた私はメインの料理を堪能しながらワイングラスに手をかける
『…ねぇ。先生 。
私 こんな高級なワインとフランス料理ははじめてです。こっちに来てから贅沢三昧ですね。』
『俺だって滅多にないぜ。だいたい 病院の食堂かコンビニだな。』
『そうなんですか?』
『医者なんて真面目にやってると金なんか使う暇ないんだよ。』
『そうですよね。連れてきてもらってわかったこともたくさんあるかも。日々勉強なんですよね。』
ここに来て先生の印象がだいぶ変わった。今もそう。落ち着いた大人の雰囲気で私に接してくれている。
『そう言えば お前の英語。喋れるのちょっと以外だったよ。なんかやってたの?』
『ちょっとですけどね。英語が好きで英文学科卒業してるんですけど。英語関係の仕事はみんな落ちちゃって。』
『それで 今の仕事?』
『……はい。でも 楽しいですよ。
ここでお金貯めて 少し留学したいなー。なんて思ってたんですけど… 現実はそんなに甘くありませんでした。』
『もったいねーな。』
『でも 学会に来て久しぶり英語に触れて 英会話教室でも通おうかなぁって。
…なんて。調子に乗りすぎかな』
『明日のパーティは海外の人も多いから璃子も楽しめるかもな。』