
あなたの色に染められて
第12章 学会
『うわぁ。かわいい。』
チョコや雨細工でデコレーションされた デザートプレートが私の前に置かれる。
『見て見て。私の名前とハートまで書かれてるぅ!
すごーい!!
これじゃあ もったいなくて食べれないですね。』
私を子供扱いするように クスクスと笑いながら
『ハイハイ。そんなに興奮すんなって。』
私はケーキを口に運び 首を縦にうんうんと振りながら幸せを噛みしめていた。
先生はそんな私を見ながら コーヒーを口に運び
切り出した
『お前 彼氏とうまくいってんの?』
『んんっ?』
フォークを口に納めた状態の私。
『もう 泣かされてねーのかって話。』
私の目をグッと見つめながら
『……はい。大事にしてもらってます。あれから 泣いてません。』
先生は私からすっと目線を反らして
『……そっか。』
私はミルクティーを一口飲んで
『どうしたんですか?急に。』
先生はもう一度私の目をまっすぐに見て聴こえるか聴こえないかのギリギリで
『……璃子をまだ泣かすような男なら 遠慮しねーのにな。』
私には聴こえてしまった
『……えっ』
先生の右手ががスッと伸びて 私の頬を繊細な指でそっと撫でる。
私を見る儚げな目に吸い込まれて動けない。
『俺のほうが絶対に大事にするのに…』
『…先生』
私の頬を掌で包み込む
『…待ってるから。…璃子が振り向くの …待ってるから』
先生の手が私の頬から離れても私はまだ動けない
先生はフッと笑い
『飲みすぎちゃったな。…帰るか?』
『……はい。』
店員さんを呼び支払いをすませると
すっと立ち上がり 歩き始める
私はまだ元の世界に戻れずに戸惑っていると
振り返り いつものイジワルな顔で
『モタモタしてんと置いてくぞ。』
『…あっ……はいっ!』
バッグを胸に抱え 追いかけた
