あなたの色に染められて
第13章 Bath time
『どうもありがとうございました!おやすみなさい。』
明日もお昼から試合と言うことで早めにお開きになり 車で来ていた京介さんの後輩に家まで送ってもらった。
エントランスを抜けてエレベーターに乗り 部屋のドアを開けて中に入ると フワッと後ろから包み込まれて
私の首筋に顔を埋めて 髪の毛の上から軽くキスを落とす
『…璃子の匂いだ。』
頬を擦りよせて さらにキツく抱きしめられると私の鼓動は高鳴る。
『玄関ですよ?』
そんなことを言いながらも 彼の腕をそっと両手で包み込み彼の腕の温もりを確かめる。
『なぁ お願いがあるんだけど…』
耳元にキスを落としながら優しく私に問いかける。
『なんですか?』
『答えは“ハイ”か“イエス”しかないんだけど 』
『ふふっ。なんですかそれ。』
後ろから抱きしめられたまま 体を左右に振られて 甘えてくるなんて
『聴いてくれるなら 話す。』
『…いいですよ。』
お酒のせいかな。いつもより甘えてなんだか可愛い
でも やっぱりそれは仮の姿。
『一緒に風呂はいるぞ。』
紡がれた言葉は私の頭にはてなマークをたくさん浮かび上がらせて
『……はい?…お風呂?……ダメ!ダメですぅ!!』
彼の腕をすり抜け 靴を脱ぎ部屋に逃げ込んで
あ~もう。ムリに決まってるじゃん!
バックを胸に抱えてソファーの端でブツブツ言いながら体育座りをして小さくなって息を潜める私
あとからゆっくり部屋に入ってきた彼は そんな私に見向きもしないで 冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して一口飲み テレビを付けて ソファーに座りスポーツニュースを見始める。
あれ?私 暴走した?
からかわれただけ?
床に足を下ろして バックを脇に置き そっと立ち上がると
♪~ ♪~
お風呂が沸いたことを告げるアラームが部屋に鳴り響いた。
それと 同時にグイッと腕を引き寄せられて 気づいたら彼の膝の上に座らされて
『答えは“ハイ”か“イエス”だけって言ったでしょ。』
勝ち誇った笑顔の彼。落胆する私。
『えーっ!』
『…逃げられませーン!ほら おかえりなさいのキス。』
後頭部を大きな手で覆われて引き寄せられ 久しぶりの甘いキスを味わって
『…もう…いじわる。』
睨みあげるともう一度唇を重ねた。