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虹色の精霊に導かれて…

第10章 羽と尾と鼻と目と耳

相葉視点

N「ちょっと、聞いてる?」
 布団の中からカズの声が聞こえる。

「え?なに?」

N「だから、迎えの扉の前では、声出したら…ダメだよ…」
 カズがうわ言のように、俺に話しかけてきている。

「へーそうなんだ」

N「そのぉ、反応が心配だよぉ」
 布団の中に顔を隠すカズ


(大丈夫だよ…そんなに心配しないでも、行けるから…)

そっと髪の毛を触る。

 布団の隙間から目が見える。


 ゆっくり瞬きしている。


(眠いよね…)


「…もう、寝なよ…」
 ゆっくり、ゆっくり髪の毛を撫ぜる。


N「うん……」
 カズの目がゆっくり閉じて行く。


(眠った?)

 布団から少し出ている顔に耳を近づけるとカズの規則的な寝息が聞こえる。


(中学生の頃から一緒の掛け替えのない親友…)


「和也…」

(この呼び方をすると、いつも、怒るんだよなぁ…

 大ちゃんや翔ちゃんは良くて、俺はどうして、ダメなのさ?)

頬をつつく。


(柔らかい…

 無防備なカズをこんなで間近で顔…触ったのいつぶりだろう)



 『送り狼…』松潤の言葉を思い出す。



(狼か…俺…松潤じゃねーから、そんなことできない…

 でも…こんなチャンスもうないかも…)



カズの口が『バカ…』と動いた気がした。


(…はい。自覚してます…)


「おやすみ」
 カズの額にキスをした。


N「……っ」
 カズがピクッと動く。


(わ!やば!!!)
急いで、カズから離れる。


(逃げよう!!)
ニノの部屋の電気を消す。


(大丈夫だね?)
ドアを持ったまま、暗くなった部屋の音を聞く。


(起きてこないな…部屋に帰ろう…)
ドアの閉まる音だ出ないように、そっと扉を閉めた。

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