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虹色の精霊に導かれて…

第14章 一瞬の交差

猴宮視点

O&S「イッターイ!」
 声を揃えて頭を押さえる二人の見下ろす。


(お前たちは、桃木の気持ちがわからないのか!!)


N「おい!なにするんだよ!!」
 カズナリが詰め寄ってきた。


(なにするだとぉ!!)


『カズナリ 主が〝三人で語らう場〟を仕切らないからこうなる!』
扇子で今世の‘人’となった二人を指し示す。

N「はあぁー(怒)人型理解者が勝手に動いてる事まで、俺が把握できるかよ!」
 カズナリが感情的な口調で申す。


{我に口答えするか!!}


≪口答えじゃねぇよ!!抗議だよ≫



A「カズ。ああ、怒んないの!」
 カズナリの方に近づこうとする相葉。

(お前も…オマエもなのかぁぁぁぁ)


目の前が一瞬で黒で染まる。


(ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ)


『猴宮様もお心をおさめてください』

真っ暗な世界に“声”が聞こえてきた。


(あぁ…誰だよ…)

ふううっと意識が落ち着く、目の前に白い羽の鳥が首部を下げていた。


鳥『どうか…どうか…』
 鳥が唄うように嘴(くちばし)を動かす。


『…羽の民か…』

鳥の声が我が心を和ます。


(アイツの唄に似ている…)

ふと、気が付く。我の頬につたうモノ…


(見られたくない…こんな姿…誰にもだ…)


『仕方がない…お前の顔を立てよう』
鳥にそう告げると、桃木の側に走る。


桃『宮様…』
 桃木が顔を覆うように優しく抱きしめてくてくれた。


(桃木…すまない…せっかく御仁を会え…触れる機会があるのに…我ばかり側にいて…)

モモ{桃木様…祥太郎様!!}
 モモが近づいて来るのが分かる。


桃『純ノ助?』
 桃木が聞き覚えのある名を言う。


顔を上げると、山犬ではなく…見知った男だった。


純『はい!お目にかかりとうございました』
 ボロボロ涙をこぼしている。

(桃木…ソナタに会いたいと願っていた男だぞ)

スッと身を引く。

 桃木も我を引き止めなかった。


桃『純ノ助!』
 両腕で抱きしめる桃木。


『犬…(この宴の喜びを集めたのは)主であったのか…』


純『宮様は…』
 涙声の山犬が我を見る。


『フン!』
扇子を開いて、顔を隠す。

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