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虹色の精霊に導かれて…

第14章 一瞬の交差

櫻井視点

桃『宮様…そんなお顔をしてはいけません』
 桃木さんがさっきまで大狼だったモモが人の姿になった『じゅんのすけ』の頭を撫ぜながら、ニノに似た少年を手招きする。

ニノに似た少年は、下を向てしまった。


桔梗{説明欲しい?}

「いる!」
頭をさすりながら、桔梗の声がした方に向かって声を上げる。


そこには、桔梗じゃなく智くんが立っていた。


O「あの人は『マシラのミヤ』って言ってニノの魂の“前”だよ。翔くん」
 少し落ち着きを取り戻した智くんが、説明してくれた。


「魂の“前後”の事…智くんは知ってるの?」


O「……うん、大体はね…」
 口を閉ざす智くん。


「ごめん…」(触れてほしくなかったんだ…)


N「翔さん。あの人が『桃木』さん?」
 ニノが話しかけてきた。

「え?あ…ニノも知ってるの?」
小さく掌で桃木さんを指す。


N「うん。理解者から大体の事は…」
 色々考えているニノの顔をしている。



「うん。あの人は『モモノキ ショウタロウ』さん…俺もホンノさっき、認識したんだけどな…」
肩を少し動かしてみた。

N「本当に容姿が似てんだね…」
 ニノがジーッと桃木さんを見ている。



A「魂の?って何?」
 雅紀がニノの後ろに立つ。

 ニノが無言で見上げる。


M「俺も、聞きたい!」
 潤が不機嫌な声で雅紀の横に立つ。


 背の高い二人が真剣な目で俺とニノを何度も見る。




{私が説明しましょうか?}
 ふわっと薄紫のドレスを纏った女性が現れた。



桃『これは、花の精霊様』
 腰祈礼を薄紫の精霊にする桃木。


宮『その姿で現れるとはな…』
 広げた扇子を閉じる宮様。

 純之介は片膝ついて頭を下げる。


花の精{本来の姿など、我々にはない…求められた刻の器に追随するが習わし}

(この女性精霊の声…桔梗に似てる?)


《桔梗なのか?》


 女性の精霊は柔らかくほほ笑んだ。

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