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虹色の精霊に導かれて…

第5章 ハワイの懐かしさに乗って

櫻井視点

コンサート会場のすぐ近くのアリーナの駐車場に車で乗り付けた俺たち。

思った以上に人がいない。


ここは、雨が降っていなかったようだ。


(芝生が濡れていない…)


M「なんかさ、こんな芝生の上で、会見したよね」

N「”とくだね”だったよね」

A「社長に言われた言葉を、一生懸命 言った事覚えている…」
 雅紀がしゃがんで、芝生を触っている。

M「ホテルで特訓してたよなぁ」
 雅紀の背中を見ている潤。


O「おいらは’全然’覚えてない」
 智くんは力いっぱい記憶にないと言っている。


N「あなた、寝起きだった?」
 ふうっとばかりにため息を吐くカズ。

O「かなぁ?」
 首を傾げる智くん。


(始めは、こんな空気無かったな…)



チーフ「覚えていますか…」
 チーフが小さい声で俺に話しかける。


「覚えているよ…
 俺も、困惑しながら、言われた言葉を必死に復習していたからね」

(自分の振る舞いで、どっちに転がるか変わらなかったし、誰も道を教えてくれなかった。


『翔…あなたが松本を…四人を守るのよ…』


 今考えても…
 あの時の副社長は、17の高校生に無理な事…言われたよなぁ…

 それからもいっつも、突然で決定事項を突きつけられるんだもんな…)


 事務所に入る前から、顔だけは知っていた副社長とは、よく話をしていた。

 入所後は節々で俺を呼び出して、小言を言われた。



(あの『守れ』から、十五年…考え深いなぁ)



 俺は四人がそれぞれと話している優しい空気を感じていた。


チーフ「守れましたね…」


「まだ…まだまだだよ…触手はいつもすぐ、側にいる…」


チーフ「翔様…」


「やめて…やっと、普通に戻ってこれたんだから…」

チーフ「はい…」



スタッフ「お待たせしました!」

A「もういいの!」
 ピョンと立ち上がる雅紀。

M「いこう!」
 笑顔の潤。

(二人の笑顔はいつ見てもいいな…)

 自然と笑顔になっている自分を感じる。

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