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Blast of Brilliant STARS

第10章 ジャポニズム②

【のさまじょさま・大宮】鬼っ子①



「まだ、想ってるのかい?」

子鬼が足元にじゃれついてくる。


「知らないよ…そんなの」

「和はあんな人間がいいのか」


「あんな人間、すぐに食ってやる」

「だめっ…食べちゃだめ…」


子鬼は笑いながら夜の闇に消えていった。

溜息をつきながら、井戸に水を汲みに行く。


『和…』

あの人の声が聞こえてくる。

身体が震えた。

食べたい…あの人を食いちぎってしまいたい。


桶が井戸に落ちていく。
カターンと音が響く。

「んっ…く…」

頭が熱い。
触れると、膨らみが二つ…

もうすぐ…この身体が変わる。


月を見上げる。

もうすぐ僕は鬼の体になる。

その前に…あの人に逢いたい…


草履を脱ぎ捨てて、駈け出した。

京の街をめちゃくちゃに走った。

羅生門を過ぎると、すぐにあの人の家が見えた。

そっと覗き込むと、幸せそうに眠るあの人。

「智…」

そっと忍び入り、頬に触れた。

「誰…」

目が開く前に、闇に紛れた。

さようなら…さよなら…

「和…?」

その声に足が止まった。

「和なのか…?」

瞬間、首筋に当てられる冷たい刃。

「すまん…」

いいよ…あなたに狩られるなら…



のさまじょさん
2015-11-03 23:43:59


〉書きすぎとか言いながら、もう一個投下しときますw
ジャポニズムがなかったので…

平安時代のジャポニズム。
鬼っ子ニノのお話でーす。
智は検非違使とでも思っておいてくれw

芥川の藪の中、羅生門の世界を少しだけお借りしたぜ。



〉「羅生門」って、老婆が身ぐるみ剥がされる話だったような‥←

と調べたら、「羅生門の鬼」というまた別の
お話があるのね。

平安の謡曲、武将と鬼の闘いってとこかしら。

自分の無知さに頭が痛いわ…


鬼になり、自我を失う前の最後、
会いに行った和は
最愛の人に討たれてしまうのね…

謝りながらも立場上、やらなきゃいけない智。

それを即座に受け入れる鬼ニノの潔さ。

無垢な子鬼とのやりとりも、せつないわ…

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