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Blast of Brilliant STARS

第10章 ジャポニズム②

【のさまじょさま・山】



「いわし雲…ひつじ雲…入道雲…」


空を指差しながら見上げてる。


「よくそんな知ってるね」

「だってここから見える空、綺麗でしょ?」


透明に微笑むあなた。


「ばか…外のほうがもっと綺麗だよ…」

思わず涙ぐむ。


部屋をすっぽりと透明なビニールが覆ってる。

智はその中で生活してる。

白血病。

それが智の長年付き合ってる病名。


「翔が泣くから、雨が降ってきたよ…」

空を見上げながら、智が呟く。


「悪かった…」

「何で謝るかな…」


智が笑顔を向ける。

「雨の空、嫌いじゃない」


また空に向けた横顔。

綺麗だった。


それから半年、壮絶な治療が続いた。

口の中に口内炎がたくさんできて、食事もままならない。

身体を起こしているのも辛くて、ベッドに縫い付けられるように眠ってる。


「智…なにか食べたいものない…?」

「翔が食べたい」


驚いて顔を見る。

まっすぐに俺を見つめて、智は微笑んでた。

「…最後のお願い…」


涙が智の瞳から零れた。

その夜、俺達は初めて結ばれた。

俺は忘れられない刻印を、智に刻まれた。

忘れないで、と。



のさまじょさん
2015-11-11 00:27:26


〉ああああああああああ
また書いちまった…
恥ずかしぃぃぃ…

悲しい話かいてしまった。



〉泣けるわ…

雲に詳しいのは、涙を雨に重ねてしまうのは

病室からは、窓の風景しか見えないから。

想像させてくれるのが、ホント上手いわ。

死ぬことは終わる事じゃないのよね。

智さんは生きた証を、翔さんに刻んだのね。

それを胸に、遺された者も
強く生きられるはずよ…

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