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Blast of Brilliant STARS

第11章 ジャポニズム③

【のさまじょさま・末ズ】



その時の光…

俺の身体を一瞬にして溶かした。

熱い…熱いよぅ…

お水ちょうだい…お水…


潤…どこいったの…?

俺はいつまでも川の淵で佇んでた。

川は青く、さらさらと流れているのに。

俺の身体は熱いままで。

潤…どこにいったの…

ただ、佇んでいることに疲れた。

雨が降っても、強い風が吹いても待ち人は来ない。

地面から緑の草の芽が息吹いても、来ない。

溶けたはずの身体は、まだ熱くて。

喉が痛い。

潤…どこにいったの…?

もう…疲れた…


遠くからゆっくりと歩いてくる人影。

俺を見つけると微笑んだ。

「潤っ…!」

「ごめん、和也…待たせた」

「どこ行ってたの?ずっと待ってた」

ごめんな…ごめんな…と繰り返しつぶやき、俺を抱きしめてくれる。

「熱かったよ…淋しかったよ…」

「ん…ごめんな…迎えにくるのが遅くなって…」

「もう一人にしないでね…?」

「うん…しない…」

潤の温かくて広い胸に包まれて、やっと俺は安心した。

うれしいよ…潤…

「和也…70年も…待たせてごめんね…」

燕が一羽、翻って飛んでいった。



のさまじょさん
2015-11-16 22:54:36


〉天使と悪魔の悲恋…

その後に、原爆の悲恋でございます…

多くは語りますまい。



〉ナイーブなテーマですがここまで惹きつけられるとは…!
しかも500字で!いやほんと、すごいです。
先に逝ってしまった和はずっと潤を待ってたんですね。
70年の時を経てやっと逢えて…一緒に旅立つんですね。

うん、なんかしばし考えされられました、しみじみ。

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