煩悩ラプソディ
第10章 星に願いを/AN
…あぁ、やっぱり。
「ねぇにの…確かめていい?」
「なにを?」
「…俺の気持ち」
にのの腕を引き上げて、そのままぎゅっと抱き締める。
すっぽり腕の中に収まるサイズ感と、頬をくすぐる柔らかい髪。
「…どうしたのよ」
おとなしく抱き締められているにのの穏やかな声が肩口に届く。
感じる温もりが体中に染み渡って、じんわりと愛しさが込み上げてきて。
「…俺、にのが好き。
もう…どうしようもないくらい好き」
全身でにのを感じたくて、ぎゅっと腕の力を込めた。
…だから、俺の傍にいて。
少しの間のあと、すっぽり包まれていたにのが体を離して顔を上げて。
「そんなん…当たり前でしょ?」
なにを今更、とでも言うように見上げて微笑む。
「…だから隣にいるんでしょうよ」
そう言ってまた、微笑んだ。
その眼差しに体の奥がジーンと熱くなってくる。
すぐ側にあるきれいな瞳には、しっかりと俺が映っていて。
その薄茶色の瞳に吸い込まれるように、顔を傾けてゆっくりと近付いた。