煩悩ラプソディ
第11章 始めの一歩/SA
ケチャップライスに卵の帽子を乗せ、ようやく全ての料理が完成した。
「お待たせー、できたよー」
テレビ横の小さなツリーに飾り付けをしている櫻井さんと子どもたちを呼び、みんなでテーブルを囲む。
こんな賑やかな食卓、何年振りだろう。
隣のかずも本当に嬉しそうな笑顔で。
「…うん、うまい!相葉さん、めちゃくちゃ美味しいです、このオムライス」
一口頬張った櫻井さんが大きな目を更に見開いて感想を口にする。
「おいしー!かずくんのパパ、おりょうりじょうずだねえ」
潤君も、小さな口いっぱいにオムライスを頬張って満面の笑みを向ける。
食べる姿もそっくりな櫻井親子に、こちらも嬉しくなって笑顔がこぼれる。
「かずは?美味しい?」
隣でハンバーグを頬張るかずに訊くと、見上げながらにっこり笑って。
「おとーのごはんいつもおいしいもん」
そう言ってまた夢中でハンバーグを食べ始めた。
…可愛いこと言ってくれるじゃん、我が息子!
「…いいなあ、かずくん」
ハンバーグにフォークをぷすっと差し、潤君がポツリ呟いた。
「ぼくもおいしいごはんたべたい…」
もぐもぐしながら櫻井さんを見上げている。
「え?あ…パパだってご飯作ってるだろ?」
「だってパパのごはん…
あんまりおいしくないもん…」
「じゅ、潤っ…!」
口を尖らせて嘆く潤君を焦り顔の櫻井さんがたしなめる。
ふふっと笑うと櫻井さんが恥ずかしそうに困った笑みを浮かべた。