煩悩ラプソディ
第11章 始めの一歩/SA
カットしたケーキとコーヒーをテーブルに置き、居間で寝息を立てる潤君とかずのブランケットを掛けなおしに行く。
ご飯を食べ終えて、ひとしきり二人で遊んで。
ケーキを食べてまた遊んで。
いつのまにか二人で向かい合ってゴロンと横になって眠っていた。
こんなに元気に遊んでいるのに…この子たちの病はいつになったら治るんだろうか。
規則正しく上下する肩を見つめて、眠っているかずの髪をさらっと撫でる。
ふいに、かずがサンタさんにお願いした手紙のことが頭を過ぎった。
”げんきなからだをください”
拙い字で一生懸命に書いた、かずの願い事。
その字を思い出して、また目頭が熱くなる。
サンタさん…
天使のように眠るこの子たちの願いを、
どうか、叶えてあげてください…。
「…相葉さん?」
背後からの声に慌てて振り返る。
「…大丈夫ですか?」
椅子から立ち上がって、櫻井さんが心配そうにこちらを窺っていた。
「…ぁ、ごめんなさい!
ケーキ、食べましょっか」
目をゴシゴシと擦ってテーブルへと戻る。
「今日はほんとに…楽しかったです」
斜め横に座る櫻井さんがケーキを食べながら小さくそう呟いた。