煩悩ラプソディ
第12章 権力ハニー/AN
すると、テーブルに飲みかけの缶ビールがコトっと置かれて。
「…や、いいって、」
顔を上げて振り返ろうとすると、背中に軽い衝撃とぬくもりが。
……!?
ソファからずるっと下りてきたにのが、俺の背中にぴったりひっついてきていた。
腹に両腕を回し足を投げ出した状態で、背中に頭を預けている。
突然の後ろからのハグに衝撃と動揺で文字がズレてしまった。
「ちょ、なに?どしたの?」
「え、ゲームやんない日だから」
首を捻って目線を遣れば、肩口からこちらを覗き込み平然とそう言ってのけるにの。
…え、なに?どうゆう意味?
「ゲームやんない日だから相葉さんかまってあげようと思って」
ね?とでも言いたげに上目遣いで言い放つ。
風呂上がりのにのはほかほかしててボディソープのいい匂いがする。
おまけに、洗いたての髪は整髪されてない状態の俺の大好きな前髪を下ろしてるやつで。
やっば…
かわいすぎるっ…
今すぐにでもにのに向き直って抱き潰したい衝動に駆られたが…だめだめ、今は年賀状のじかん。
てか"かまってあげる"って…
なんだその上から目線。
「にの、あとでね?」
「え、だからかまってやるって言ってんのに」
「や、年賀状書いてるから俺」
「見りゃわかるよそんなの」
「だからあとでね、って」
「あっそ。じゃゲームする」
半ばくい気味にそう言うと、巻きつけた腕を外して立ち上がろうとする。