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煩悩ラプソディ

第14章 恋も二度目なら/SA






"ただいまぁ"



玄関のドアが開く音とともに間延びした声がリビングまで届く。



「ただいまぁ〜…」

「おかえり」



キッチンから応答すると、相葉さんは少し疲れたような顔でコートをソファの背凭れに掛けてそのままボスっと沈み込んだ。



「翔ちゃんいつ帰ってきたの?」

「ん、ちょっと前かな」

「そっか…お疲れさま」



そう言ってにこっと微笑みながら立ち上がってこちらに歩いてきた。


疲れていてもいつもこうやって俺に笑いかけてくれるんだ。


その笑顔につい顔に熱が集まる。
近づいてくる相葉さんをまっすぐ見れなくて、俯いてぎこちなく手元を動かした。


カウンターの側のダイニングテーブルに手をついて相葉さんが手元を覗き込んでくる。



「え、なんか作るの?」

「え…いや、たまには…って思って」

「そっかぁ…じゃ俺も手伝うよ」



俺が料理をすることに驚いた顔をしたあと、嬉しそうに"手伝う"と言って腕まくりをし始めた。



結局ほとんどの調理は相葉さんが担当し、俺の大好きなオムライスが美味しそうに出来上がった。


ほんと、料理も家事もなんでもこなすんだよな。


最初に相葉さんちに行った時に、その料理の腕にはひどく感心した。


そして一緒に生活を始めて、より生活術の器量の良さを思い知らされて。


それに比例して、俺の要領の悪さ、不器用さが浮き彫りになり…


まるで俺…お荷物状態じゃないか?

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