煩悩ラプソディ
第2章 僕の目が眩んでるだけ/ON
…ちょっちょっちょっ!
やめろってマジで!!
ギュウっと回された腕で完全に身動きがとれない状態で。
にのが…俺の膝枕で寝てる…。
しかも…こっち向いてる…。
これは…マジでヤバイ。
チラッと周りを見ると、みんなそれぞれテレビを観たり雑誌を読んだりしててこちらには全く気づいていないようだった。
内心こんな感情が湧き出てるのが無性に恥ずかしくなって、顔を隠すようにして持っていた雑誌を再び広げる。
雑誌を読むフリをして真下のにのをこっそり見つめて。
…あ、こないだ髪切ったんだっけ。
この黒くて柔らかい髪、好きなんだよなぁ…。
…肌もめっちゃキレイだし。
このほっぺのホクロとか見てると、
触りたくなんだよなぁ…。
…目ぇ閉じると下がる眉毛も、睫毛も子どもみたいでさ。
…それに、この薄いくちびる。
いつも夢でなんか呟くけど…
なんて言ってんのか分からない。
その時、閉じられていた唇が微かに開いた。
小さく吐息が漏れでて、瞬間、眠りについたことを知らせる。
その唇を見ていると、夢の中のあの顔がフラッシュバックした。
ゆっくり近づいてくる瞳、唇。
触れそうで触れられない、もどかしさ。
…このくちびるに、触れたい。
そう思った瞬間、体中の熱がまたグングン上がり鼓動が早まってきた。
そして、毎朝こみ上げるあの感覚が急激に体を襲う。
…あ、やべっ…!
そう思った時はもう遅かった。
自分の中心に熱が集中し、みるみるうちに主張しだす。
そこに顔を預けているにのがいるというのに。
…バカ!俺のバカ!
なに盛ってんだバカッ!!
焦る気持ちとは裏腹に体は正直でドンドン主張を続ける。
にのの顔の下で窮屈そうに動くソレを見ながら、異様な光景に目が眩みそうだった。