煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
自分の中に押し留めていた気持ち。
独りよがりかもしれないという不安は、いつのまにかスッとなくなっていて。
合わさった胸元から伝わる、相葉さんの音。
耳に届く、心地良い呼吸。
頬をくすぐる柔らかい髪。
その全部を感じたくて、そろそろと背中に腕を回してみる。
受け止めた相葉さんのそのぬくもりは、俺には十分すぎるほど温かかった。
なんでもっと早く伝えなかったんだろう。
"家族"っていうカタチに捕らわれて、
"家族"だからって言い訳して、
自分の気持ちを必死にごまかそうとしてた。
相葉さんはどう思ってるのかなんて、俺が勝手に想像したところで分かるわけなんかないのに。
そうだよ…
ずっと…ずっと、こうしたかったんだ、俺。
ふいに肩口に乗せている相葉さんの顎が動いたのが分かった。
「けど俺…けっこう不安だったんだよね…。
だってさ…翔ちゃん俺のこと名前で呼んでくれないしさ…」
…え?