煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
「名前で呼ぼうって言ったの翔ちゃんなのにさ…」
拗ねたような口調になった相葉さんに慌てて体を離す。
「っ、ごめん!いや…なんか、やっぱ照れ臭くて…呼べなくて…」
自分でもわかるくらい狼狽えながら必死に言い訳をして。
こんなことで相葉さんを不安にさせてたなんて…
俺ってつくづく…
ばかだよな…
「…じゃあ呼んでよ」
ぐっと近づいてきた相葉さんの整った顔に思わずどきっとする。
こんなに間近で相葉さんの顔を見たのなんて初めてで。
視線を彷徨わせていると、ふわっと頰を優しく包まれた。
「…翔ちゃん」
今まで聞いたことないくらいの甘い声と、今まで近距離で見たことのなかったその綺麗な瞳に視線を外せずに口を開いた。
「…まさ…き、」
「…うん」
ゆっくりと瞳が近付いて、唇に柔らかく雅紀のそれが重なり。
そのふっくらとした感触に、忘れかけていた感覚が呼び起こされるようで心臓が震えた。
しばらくの間のあとゆっくりと離れた唇を目で追うと、包まれた頬が目線まで上げられて。
「…好きだよ、翔ちゃん…」
熱を帯びて潤んだ瞳でまっすぐにそう告げられ、自分の瞳が揺れるのを自覚する。
今度は…
自信持って、ちゃんと言うから…
「俺も…好きだよ、雅紀…」
その声が届ききる前に、優しく微笑む綺麗な顔がまた近づいてきた。